プロスポーツにおける広報の重要性 読売ジャイアンツ公式YouTubeのクオリティが高すぎる

 コロナ禍でプロスポーツにもさまざまな規制がかけられ、ファンと選手たちには今までにない距離が生まれてしまった2020年。その状況を逆手にとって、新たなコンテンツに力を入れ始め、既存のファンを喜ばせるどころか、新しいファン層まで獲得しているプロ野球団がある。読売ジャイアンツだ。

 公式のYouTubeを運営している球団は、ジャイアンツだけではない。中日ドラゴンズや阪神タイガース、千葉ロッテなど、プロ野球の球団は公式のチャンネルを開設してさまざまな動画を投稿している。しかし、チャンネル登録者数を見ても、他の球団は多くて10万人台なのに対しジャイアンツは2020年12月17日時点で36万9000人。その差はいったい何なのだろうか。

サムネとタイトルのクオリティがプロのYouTuberレベル


 『元木ヘッド、イジられすぎ問題』『エース菅野絶賛!戸郷翔征の「お金が取れるキャッチボール」』など、下世話になりすぎずも興味をそそるような、上手いタイトル付けとサムネイルの編集がなされている。これらの動画は内輪ウケな内容ながら、選手同士の関係性やチームの空気感が伝わるだけでファンにとって需要は大きいだろう。実際に野球のコツを伝授するものであったりとバラエティ豊富だ。どちらも投稿から1年経たないうちに、再生回数300万回以上を記録している。動画の投稿頻度も他球団より高く、公式YouTubeに本格的に注力していることがわかる。

動画の企画性の高さと選手のカメラ慣れ?

 今年に入ってから、動画のクオリティが上がったというのはファンの間でも囁かれているところ。選手たちの宿舎を大公開する動画には、「作成スタッフはファンが何に興味を持っているのかがわかっている」といったコメントが多く寄せられていた。エースの坂本勇人内野手に対して、レッズの秋山翔吾外野手とツインズの前田健太投手の両メジャーリーガーがドッキリをしかける企画などは、現代っ子の野球ファンには面白いはずだ。

 また、ジャイアンツの選手がカメラ慣れしているため、普段とあまり変わらない(であろう)選手たちの日常を見せられているのも、好評の要因だろう。『ズームイン!サタデー』などでバラエティ要素の強いインタビューを何度も受けてきているからか、YouTubeを始める前の段階から内部にカメラが入ることに対する抵抗があまりなかったのかもしれない。

 コロナ禍でリアルの交流が制限される分、ファンサービスの意味でも、新規ファンの獲得に向けても、ジャイアンツに限らず他の球団も、これから動画コンテンツを拡充させていく可能性は大きい。DAZNのようなスポーツに特化した動画配信サービスが成長しつつあり、その他サブスクリプションサービスやケーブルテレビなどの業界も、プロスポーツ市場に熱い視線を注いでいる。今後プロスポーツにおいても、ネットとの親和性を高めていく取り組みはさらに重要になっていくだろう。

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