SpotifyがEpic Games Storeに登場 アプリストアに進化する布石か?
プラットフォーム使用料を12%にして、老舗ゲームストアSteamに対抗するかたちで始まったEpic Games Storeに突如あの音楽アプリが登場した。このサプライズは1回限りのものではなく、Epicが野望を実現するための第1歩に過ぎないようだ。
盟友が友情出演
人気バトロワゲーム『フォートナイト』の開発元で有名なEpic Gamesは17日、同社が運営するゲームストアEpic Games StoreにSpotifyがリリースされたことを発表した(トップ画像参照)。同ストアでリリースされたSpotifyはモバイルアプリ版と同様に、広告が入るかわりに無料で使えるFreeプランと、月額料金を支払って広告なしで高音質の楽曲が視聴できるPremiumプランが用意されている。
Epic Games Store版Spotifyのリリースを報じたゲームメディア『Polygon』の17日付の記事によると、EpicはSpotifyからプラットフォーム使用料として売上の12%を受け取っていない、とのこと。利益が出ないにも関わらず同アプリのリリースを決断した理由を知るには、EpicのCEOティム・スウィーニー氏の以下のツイートが手がかりになるだろう。ツイートには、「Epic Games Storeは今やゲーム以上のものだ」というメッセージが書き込まれている。
Epicは今年の8月、App Storeのプラットフォーム使用料の在り方をめぐってAppleと法的に争う「フォートナイトの乱」を起こした。この法的紛争はApple優勢の状態で来年7月の陪審裁判に決着が持ち越されているのだが、この争いのさなかにSpotify等の有名アプリ開発会社と適正なアプリ配信を推進する同盟「Coalition for App Fairness(アプリの公平性のための同盟)」を結成した。
Epic Games StoreからのSpotifyのリリースは、アプリストア運営に関するEpicの回答と解釈できる。同社はプラットフォーム使用料としてApp Storeがアプリ開発者に課す30%ではなく、12%が適正と考えているのだ。そして、理想とするアプリストア運営の第一歩として言わば盟友であるSpotifyに登場してもらった、というわけである。今回に限ってプラットフォーム使用料を徴収しないのは、「友情出演」に対する誠意なのだろう。
これは始まりに過ぎない
ゲームストアとして立ち上げられたEpic Games Storeに世界的なノンゲームアプリであるSpotifyがリリースされたことは、同ストアがもはやゲームだけを配信するわけではないことを意味する。こうした「ゲームストアからアプリストアへ」と歩み始めた同ストアとEpicに関して、海外メディアは好意的に報じている。以下、そうした報道の一部を抜粋する。
「(今年の1月には1億人を超えるほどに)Epic Games Storeのユーザ数が成長し、開発者にフレンドリーな料金構造、そして(フォートナイトのような)世界的に有名なアプリを配信しているという事実に加えて、Epicはノンゲームアプリ開発者がほかのアプリストアと両立可能なプラットフォームでの配信を検討すべきである事例を作ったように思われる」(The Verge)
「SpotifyのようなサービスをEpic Games Storeに追加する計画を展開することにより、Epicは独自のバージョンのアプリストアを静かに構築している可能性がある。同社が言うには、(ノンゲームアプリのような)新しいアプリとともにかかげる目標は「開発者のためにより堅牢なプラットフォームを作ること」である」(digital trends)
「Epicの広報担当者は、将来的には「より多くのノンゲームアプリがストアに並ぶことが期待できる」と伝えてきた(中略)2021年には、Epic Games Storeがこれまで以上の規模になることを期待しよう」(Destructoid)