人狼系アドベンチャー『Among Us』はなぜヒット? 2020年を代表するインディーゲームの“カジュアルさ”に潜む中毒性

『Among Us』なぜ今年のヒット作に?

 さらにコミュニケーション面では、常にボイスチャットでマッチメンバーとつながるわけではなく、ディスカッションのタイミングのみ話し合う仕様を採用している。メンバーの信頼を獲得するためには、ディスカッション中の「言動」だけでなく、それ以外のシーンでの「行動」も重要となるわけだ。こうしたゲーム設計は、初心者のプレイへのハードルを著しく低下させる。人狼システムに不慣れで上手に語れ(騙れ)なかったとしても、行動を見て擁護してくれる人間が現れる可能性を残すためだ。

 つまり『Among Us』は、言葉を使いながら心理戦を楽しむという人狼系ゲームならではのおもしろさを維持しつつ、知識・技術の重要度を下げ、言動と行動のバランスを調整した、誰にでも楽しめるタイトルということになる。それでいて1マッチにかかる時間が10~15分と短いのだから、繰り返しプレイする人間が多いことにも納得させられる。同タイトルの魅力は、カジュアルなゲーム性にこそ隠れているのではないだろうか。

 そんな『Among Us』は現在、待望の日本語ローカライズへ向けて動いている。2021年、日本語化の先にある未来は、大型アップデートか、それとも家庭用プラットフォームへの移植か。同タイトルの快進撃はまだまだ続きそうだ。

■結木千尋
ユウキチヒロ。多趣味なフリーライター。
執筆領域は音楽、ゲーム、グルメ、テクノロジーなど。カルチャー系を中心に幅広いジャンルで執筆をおこなう。
人当たりのいい人見知りだが、絶対に信じてもらえないタイプ。Twitter:@yuuki_chihiro

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