そわんわんが語る“人も自分も傷つけない生き方”「人を変えるよりも自分が変わった方が早い」

 「みんな生まれてきてよかった。マジでみんなもっと自分を褒めたほうがいいわ。みんな頑張ってる。人生楽しもうな~!」

 そんな気のおけない友人とビデオ通話しているような気分で見られる動画を発信している、人気YouTuberのそわんわん。「考え方次第で自己肯定感は上げられる」と示した初のエッセイ本『すべてはウチらの頭の中に』を発売すると、Amazonカスタマーレビューでも★5中4.7と高評価を受け、「買ってよかった」「元気づけられた」という声が多く上がった。それからわずか半年で2冊目のエッセイ本『そしてウチらはつながっていく』を発売。1冊目では考え方を提示し、2冊目ではいよいよ実践編となっている。

 今回、そわんわんにインタビューを行ない、エッセイ本に込められた想いについて聞いた。なかなか思い通りにいかない人生を、いかに明るく、楽しく生きていくか。今日から使えるヒントが次々と飛び出した。(佐藤結衣)

【記事の最後に、そわんわんさんのサイン入りチェキプレゼントあり】

DMで届くみんなのお悩みを、本を通じて解決できたら……

――2冊目のエッセイ本を発売されて、反響はいかがですか?

そわんわん:たくさんの感想コメントをいただいて、とても嬉しいです。うちがエッセイ本を出そうと思ったのは、毎日たくさんのお悩みDMが届いていたことがきっかけで。1日50件以上は今も届いています。物理的に全員に返信をすることは難しいなって感じていました。でも、みんな本気で悩んでいて、なかには生きていくことを諦めてしまいそうなくらい切羽詰まったお悩みも……。これはDMとは別の形で、ちゃんと言葉で伝えたいなって思ったんです。それに本だと見返すことができるし。なので「前向きになれました」とか「友だちと仲直りできました」とか、「ちゃんと実践して解決できたよ」という声がDMで届くと、本当に出してよかったなと思います。

――YouTuberとしても活躍しながら、本の執筆は大変ではありませんでしたか?

そわんわん:締め切りがあるという意味では大変でしたね。夜、家の近くのファミレスに行って朝までずっと書いていたことも……。あ、うちパソコンじゃなくて、手書きで原稿を書いてたんですよ。普通に手書きの方が好きなのと、読んでくれる方に手紙を書いているような感覚になれたらなって。

――たしかに、自分のためにメッセージを送ってくれているような気持ちになって読めたのも、そうした想いが込められていたからかもしれませんね。日記の部分も、日記帳をのぞいたような気分でした(笑)。

そわんわん:うち、ホンマに隠すことがないんですよね。仲がいいから言える、言えないとかあんまりなくて。逆に隠すことでいろいろと気をつけないといけなくなっちゃうじゃないですか。そういうのが苦手っていうのもありますが、最初から「みんなこんなもんちゃう?」って出しちゃったほうがラクやなって。

――それがそわんわんさんの強みですよね。どうしても自分のいいところを見せたいと思うあまり、カッコ悪いと思っているところを隠したくなってしまうというか。

そわんわん:でも、最強なのは「素を好きになってもらう」ことじゃないですか。なのに、取り繕って好かれようとして、素を出したら嫌われるかもって悩んで……そこに矛盾ができてしまっているからしんどいんやろうなって。それやったら最初から素を出していって、それを好きやって言ってくれる人を大事にしたほうがいいじゃないですか。どんなに取り繕ったとしても、悪口とか言う人はいるんですよ。仮に自分の素を出して、何か言われたとしても「そういう1つの意見もあるんやな」って思えたほうがラクやし。もうみんな素直に全部受け止めすぎ! って思います。

――そわんわんさんの、その潔い語り口が心強くて、お悩み相談のDMを送りたくなるんでしょうね。

そわんわん:今回のエッセイ本には「お悩み相談コーナー」のページを設けたのが、自分としてもお気に入りの部分です。いただいたDMの中から一部ではありますけど、悩みの本質部分が共通して多いものを厳選して載せて、答えさせていただきました。

――これまで寄せられた多くのDMを見ていて、お悩みの内容に変化はありますか?

そわんわん:最初のころは、体型とかを気にするお悩みが多かったように思います。うちはファッションが好きやから、 好きな服をどんどん着ているんですけど、その動画を見て「そわちゃんがオシャレを楽しんでいるのを見て、私もいろんな服を着ていいんだって思えました」みたいなコメントが来るようになったのはうれしかったですね。そういう見た目に関するお悩みは、YouTubeを続けていくうちにどんどん減ってきたように思います。逆にめっちゃ増えてきたなと思うのは人間関係の悩みですね。

人を笑顔にしようとして誰かを傷つけているかもしれない問題

――YouTuberとして活動されている中で様々な声が届くと思いますが、そわんわんさん自身は人間関係で悩んだり、傷ついたりはしていませんか?

そわんわん:あったとしても、傷ついたままにしないでネタとか笑いに変えているかもしれないですね。「ちょっと聞いてー! こういうことがあって傷ついたんやけどー!」みたいに。

――自分が傷ついたのを見て見ぬ振りすると心に膿みがたまりますからね。でも、その笑いに変えることが自分や他の誰かの傷をえぐる自虐ネタになってしまうという難しさも……。

そわんわん:そうなんですよね、それはホンマに難しいところで。うちも自分が「傷つきましたー」ってネタにしたことで、誰かが傷つくことだけは絶対にしたくないって思いながら、YouTubeをやっていて。言い回しには気をつけています。うまくできているかはわかりませんが、話のネタとして出しながら、ネガティブな印象が残らない口調にするとか。

――なるほど。たしかにそわんわんさんの動画では、「疲れた」や「しんどい」というネタを話していますが、見終わった後にはポジティブな気持ちになっていることが多いです。

そわんわん:うちがあの『人生疲れたァ』って動画を出したときに気を揉んでいたのは、うちのことを思って言ってくれてることが結果として他の人を傷つけているなって感じていたからなんですよ。例えば、この前、脱水症状みたいになって入院して点滴を打ったんですけど、うちの腕の血管ってめちゃめちゃ細くて、どんなにベテランの看護師さんでも難しいくらいで。しかたなく利き手の手の甲にしたんですね。しかもアザになりやすい体質やから、今回もアザができていたんですよ。それはもう仕方のないことやし、あえて言うことでもないと思って動画で伝えていなかったら、コメントで「普通そこにしなくない?」「失敗されたのかわいそう」みたいなのもいくつかあって。いや、うちのことを心配してくれるのはすごくありがたいことやけど、そのために看護師さんを巻き込んで傷つけてしまうのは違うよなって。でも、それを動画で伝えるのはすごく難しくて。ポジティブに伝えるにしても、これはどうしたらいいのか……って悶々としたんです。


――たしかに、そういうのあります。誰かを褒めるために、他の誰かを下げるような言い方をされると、素直に喜べないですよね。

そわんわん:そうです、そうです。例えば2人で撮った写真を見せたときに「右の子がかわいい」みたいな言い方も、左の子が聞いたらきっとストレスになりますよね。でもそれを言った人にとっては「右の子を褒めただけのに」ってなるじゃないですか。この違和感をポジティブに伝えるのは、ホンマに難しいなって。でも「そういう言葉を無意識に使うと傷つく人がいるかもしれない」ところまで、それぞれが考えられるやさしい世の中になってくれたらいいなっていうのは、ずっと思っています。

――たしかに難しいですよね。ある人にとっては良かれと思ってしたことだけど、それが誰かにとってはイヤな気分にさせることっていうのは、本当に価値観の違いですから。多様性を認め合おうという流れがあるなかで、誰かが傷つく言動は認めるべきなのか、というジレンマを感じます。

そわんわん:多様性って「理解し合おう」ってことばかりにスポットライトが当たっていますけど、「わかり合えない」っていうことを知るのも大事だと思うんです。あの『人生疲れたァ』の動画でもこの話をちょっとしていたんですけど、まだ言葉足らずになっちゃうなと思ってカットしちゃいました。言わないと変わらないけど、言って変わるのかなみたいな。わかってくれるファンはわかってくれるし、わかってくれない人はわかってくれないから。自分のチャンネルで言う意味があるのかなって考えていて……チャンネル登録者数が60万人、70万人とかの記念で、真面目に話そうかなとか思ったりしてます。

――チャンネルを見る人の規模が大きくなるほど、異なる価値観の人との接点も増えますからね。

そわんわん:そうですね。いろんな意見があっていいと思うけど、たくさんの人に見てもらえるのであれば、そういうやさしい世の中になるようなことも、もっと伝えられたらなって。

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