元Amazonエンジニアが開発した、猫の鳴き声翻訳機『MeowTalk』
Amazonが提供するスマートスピーカー『Alexa』の元エンジニアが猫の鳴き声を翻訳するアプリ『MeowTalk』を開発した。『MeowTalk』は猫とその飼い主との絆に重きを置いており、コロナ禍に伴うステイホーム中の過ごし方が見直されるなかで生み出されたアプリである。
今回『MeowTalk』を発案したハビエル・サンチェス氏は以前、『Alexa』の機械学習チームの一員として従事。その時に得た経験がネコにも応用できると考え、現在はシアトルおよびシリコンバレーに拠点を置くIT企業Akvelonのテクノロジーマネージャーとして、『MeowTalk』の開発に携わっている。
『MeowTalk』は主に2つのモデルから成る。一方は猫の音声を検出するモデル、もう一方は「怒っている」「お腹が空いた」「嬉しい」といった個々の猫の特定の意図や感情を検出するモデルだ。後者のモデルにはあらゆる猫に共通する合計10の意図が登録されており、こうして猫が発する音声を意図や感情を翻訳することができるようになっている。
猫は人間と異なり、独自の言語体系を持たない。ところが、猫はそれぞれの場面においてたえず何らかの語彙を生み出しているとサンチェス氏は言う。vでは、ユーザーはまず飼い猫のプロフィールを作成したうえで、飼い猫が発する音声と新たなラベルとを紐づけるという行為を繰り返しながら飼い猫の感情への理解をより深めることができる。
類似のアイテムについては、ニューラルネットワークが登場する前の2002年、株式会社タカラ(現在. タカラトミー)が飼い犬とのコミュニケーションツール『バウリンガル』を国内外にて発売し、反響を呼んだ。『バウリンガル』では、「楽しい」「悲しい」「欲求不満」「威嚇」「要求」「自己表現」の6種類の感情に対し、約200パターンの人間の会話が用意され、犬が「ワンワン」と鳴くと、対応している人間の応答パターンの中からランダムに表示される仕組みとなっていた。
『MeowTalk』の話に戻ると、ユーザー自らがペットが発する音声に対するラベルを付与しながら学習データを蓄積していくことができるようになっており、その点は2000年初期に発売された『バウリンガル』との決定的な違いと言える。
ペットと飼い主とのコミュニケーションの不和をなくすことで、ペット側のストレスが軽減され得る。その意味で、『MeowTalk』が果たす役割は大きいだろう。ただ、こうした動物を巻き込むプロジェクトを推進する狙いは、単にペット側の福祉向上のためだけではない。