iPhone利用者が10億人を突破 既存ユーザー維持とイノベーションのジレンマを打破できるか

 iPhoneのユーザーが、世界で10億人を突破したことが分かった。これは、Appleにとって何を意味するのだろうか。海外メディアが論考している。

販売台数は鈍化も、ユーザーベース拡大

 この数字は、Appleの分析を行うAbove AvalonのNeil Cybart氏が、ブログで発表したものだ(参考:https://www.aboveavalon.com/notes/2020/10/26/a-billion-iphone-users)。

 iPhoneは2007年にオリジナルモデルがリリースされ、10億台の販売達成は、2016年7月に発表している。また10億台のiOSデバイス販売達成は、2014年11月に発表されている。

 Appleは、iPhoneのインストールベースが2019年度末までに9億台を超えたことを明らかにしている。それに、これまでのデータを加味し推計。インストールベースは発売以来、毎年成長しており、2010年に1億2500万人だったのが2020年には10億人を超えたと推定されている。

 2015年度にAppleは2億3100万台のiPhoneを販売したが、販売台数の伸びは近年、鈍化しており、Appleはピークを過ぎたと見て、方向転換し発表しなくなった。それでも、年間約2000万~3000万人の新しいiPhoneユーザーを呼び込んでいるという。

 公表をしない方針に切り替えた理由について、Appleは販売台数が、業績の全てを反映しているわけではないとしている。発売から13年が経った今でも、iPhoneは最も人気があり、最も売れているスマートフォンで、競合他社は、恥じることもなくiPhoneに似せるか、少なくとも大きく影響を受けているという。

 AppleのiPhoneに対する最優先事項は、デバイスを人々の生活の中心に維持する方法を見いだすと同時に、ウェアラブルにより、もたらされるパラダイムの変化を認識することだという。

アクティブなiOSデバイスは15億台以上、広大なプラットフォームを創出

 Appleは、2019年にアクティブなiOSデバイスが15億台あり、前年の14億から増加したとし、そのうち9億台がiPhoneだとと明らかにしたと『9to5Mac』は伝えており、今回の分析は信頼できるという(参考:https://9to5mac.com/2020/10/27/a-billion-iphones/)。

 iOSプラットフォームは、Android同様に長年、存在し続け、仮に 明日Appleが姿を消したとしても、非常に魅力的なプラットフォームであり続けるだろうと『Forbes』は伝えている(参考:https://www.forbes.com/sites/ewanspence/2020/10/28/apple-iphone-ios-lifetime-sales-market-share-billion/#6cf0590517f4)。

 大きなインストールベースのあるプラットフォームを歓迎するのは、アプリ開発者だけではない。新たにスマホを購入しようとしている人にとっても、その判断材料になるという。これが「独占」にあたるかは、論争の的で非常に政治的な問題でもある。

関連記事