NASAが月に4Gネットワークを構築 月でもサステナブルな開発が進むか?

 NASAは月面での4G回線の構築に、フィンランドの通信機器ベンダー、Nokiaを選択した。将来的に、宇宙飛行士は月での音声通話やビデオ通話などが可能になるという。新たな資源の確保を狙って、各国が宇宙開発競争に乗り出している。

「アルテミス計画」で月との交信が可能に

 NASAはブログで、「アルテミス計画」の下、Nokiaに助成金1,410万ドル(約15億円)を提供すると発表した。

 Nokiaの米国産業研究部門であるベル研究所は、月面ネットワークの構築を支援するため、NASAに機材を提供している。同社は、「4Gネットワ​​ークにより、宇宙飛行士が音声通話やビデオ通話、重要なデータの送信など、さまざまな活動を実行できるようになる」と語った。また同社のプレスリリースでは、「このシステムは、打ち上げや月面着陸などの過酷な条件に耐え、極限の宇宙環境でも動作するよう、特別に設計されている」と述べている。最終的には、5Gを投入する予定だという。

 今回の契約は、HuaweiやスウェーデンのEricssonと5Gネットワーク競争を繰り広げてきたNokiaにとって、大きなアドバンテージと言えるだろう。

 NASAが主導している「アルテミス計画」は、2024年までに宇宙飛行士を月面へ送り、2028年までには、月面基地の建設を開始することを目標としている。CSA(カナダ宇宙庁)やESA(ヨーロッパ宇宙機関)のほか、JAXAも計画に参加しており、米国との共同宣言によって日本人の月面着陸にも合意がなされるなど、日本の宇宙開発も大きく前進しそうだ。

 月面着陸に使用される宇宙船開発には、ジェフ・ベゾス氏が設立したBlue Origin(ブルーオリジン)や、イーロン・マスク氏のSpaceX(スペースエックス)などが選出されている。

 ベゾス氏は以前から、人々が生活する場としての宇宙ステーションを作りたいという野望を語ってきた。『The New York Times』によれば、同氏はBlue Originの研究開発に資金を投じるため、Amazon株を年間10億ドル(約1,045億円)売り払っているという。10月13日には、サブオービタル機「New Shepard(ニューシェパード)」が12回目の飛行に成功するなど、着々と月面着陸への準備を進めている。

 SpaceXは、2018年にZOZOTOWN創業者の前澤友作氏と、宇宙旅行契約を結んだことが話題となった。今年5月には、NASAの宇宙飛行士2名を乗せた宇宙船、「Crew Dragon(クルードラゴン)」の打ち上げに成功。民間企業では初となる有人宇宙飛行を成し遂げ、民間人の宇宙旅行実現への期待が高まっている。

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