環境配慮型の“バッテリーレス”ゲームボーイ誕生 ゲーム業界を巻き込んだ取り組みとなるか

“バッテリーレス”ゲームボーイ誕生

サステナブルな開発に逆行する「計画的陳腐化」で、過去にはAppleに罰金も

 一方で、企業が自社製品の消費を促す目的で、サステナブルな開発とは相反する「計画的陳腐化」を行うことがある。

  「計画的陳腐化」とは、企業が意図的に製品の寿命を縮めることで、新商品への購買意欲を高めるマーケティング手法だ。流行を作り出すことで過去の製品を古臭いと感じさせる「心理的陳腐化」や、脆弱な素材を用いることで製品の劣化を早める「材料的陳腐化」などがある。

 2017年、Appleが旧機種の動作速度を意図的に低下させることで、新機種の購入を促進したとして集団訴訟が起こされた。裁判の結果、Appleが顧客に対して、総額540億円の和解金を支払うことで合意した。また2018年には、フランス政府からAppleに対して「計画的陳腐化」の疑惑が向けられ、今年2月に罰金30億円を課せられる結果となっている。

 Appleだけでなく、多くの企業が水面下でこの手法を採用していると見られており、米国では「計画的陳腐化」に反対して、製品の長期的な利用を促す「修理権運動」も起こっている。

 製品の寿命が長期化すれば消費サイクルは減速することとなり、企業としては必ずしもサステナブルな開発を前向きに進めることができない事情がある。環境への配慮と、消費行動の促進という相反する2つのポリシーの落とし所を早急に見つけなければならない。

■堀口佐知
ガジェット初心者のWebライター兼イラストレーター(自称)。女性向けソーシャルゲームや男性声優関連の記事を多く執筆している。

〈Source〉
https://news.northwestern.edu/stories/2020/09/battery-free-game-boy-runs-forever/
https://techcrunch.com/2020/03/02/apple-agrees-to-settlement-of-up-to-500-million-from-lawsuit-alleging-it-throttled-older-phones/
https://sustainablebrands.com/read/defining-the-next-economy/planned-obsolescence-and-your-right-to-repair

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