Unreal Engineは建築・自動車分野でも活躍 リアルタイムビジュアライゼーション向けの機能とは?

 今年はコロナ禍の影響からオンライン開催となった『CEDEC 2020』。本稿では各セッションから「ノンゲーム分野におけるUnreal Engineの活用について〜建築/自動車/映像等の分野での事例、UE4/Twinmotion最新情報〜」の模様を記す。

ノンゲーム分野におけるUnreal Engineの活用について〜建築/自動車/映像等の分野での事例、UE4/Twinmotion最新情報〜。

 登壇者はEpic Games Japanの杉山明(Business Development Manager)。コンセプトデザイン、設計、製造、販売プロモーションなど、様々なフェーズでリアルタイムビジュアライゼーションが取り入れられるように環境が変化してきている中での、Unreal Engine(UE)の活用について語られた。

データのインポート・変換・編集・管理などに関する機能

 UEでは1つのデータを静止画・動画・インタラクティブなコンテンツなど、ゲームだけではなく様々な用途に活用することができる。データの変換に関する機能から解説が始まった。

 UEにはDCCツールやCADソフトのデータをインポートためのDataSmithプラグインがあらかじめ用意されており、FBXやAlembic、そしてピクサーが提唱しているUSDといったファイル形式にも対応。またPythonスクリプトやVisual Dataprepなどを使うことで、UEで扱うためのデータの準備を効率的に行うことができる。

 建築分野で主に使われている制作ソフトのデータをインポートすることができたり、自動車を含む製造分野でよく利用されている制作ソフトにも対応。CADソフトのNurbsデータはUEの中で保持され、エディター内でテセレーションされる。

 DataSmithではUSDファイルのインポートや編集、保存も行うことができる(現バージョンのUE4.25ではデータの読み込み速度が4.24の約4倍)。そのほかポイントインスタンサーやUDIMテクスチャ―にも対応。USDのサイトからダウンロードできるデータをUEに読み込んでみると、USDファイル内のオブジェクト名、階層情報などは保持され、それぞれのオブジェクトに付与されている情報も確認することができる。

 Visual Dataprepは、DataSmithなどでインポートしたデータに対して、命名規則に従ってアサインしたり、コリジョン設定などを自動化設定できたりする機能。データの再インポートを繰り返したりなど、これまで手作業で再設定しなければならなかった工程の負担を軽減できる。

 新しくなったジオメトリ編集機能では、法線を編集して裏返ってしまった面を直したり、ポリゴンに対して最適化を行うためのツールが用意されている。

 UVを編集する機能も用意。変換したCADデータのUVマップの修正や点群データのインポートもUEのエディターの中でできるようになった。点群データに含まれている色情報、高さ情報、複製情報などは、ノードの切り替えで表示の切り替えが可能。影を落としたり、コリジョン設定を行う機能もある。また選択した点を削除することもできるため、処理を軽くすることもできる。

 バリアント管理機能では、バリエーションの作成・管理を行う。この機能を使うことで、これまでブループリント(UEのスクリプト言語)を使って作成していたコレギュレーターを、より簡単に効率よく作れるようになった。

関連記事