『ラブライブ! スクスタ』ライブ演出で施した“現実と架空の表現を組み合わせた演出”の効率化と負荷低減
今年はコロナ禍の影響からオンライン開催となった『CEDEC 2020』。本稿では各セッションから『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』(スクスタ)を題目とした「ライブ演出制作秘話~超高品質な3Dライブ演出を表現するための制作概要とオリジナルTimelineツールについて」の模様を記す。
登壇者はKLabから大貫詩織(KLabGames事業部FXアーティスト)、伊東勇輔(KLabGames事業本部FXアーティスト)、細田翔(KLabGames事業本部グラフィックスエンジニア/テクニカルアーティスト)の3名(本稿は主に「スクスタ独自の制作環境」から、伊東が語った「UnityのTimelineでここまでできる!」「スクスタのオリジナルTrack紹介」で構成)。
Unity標準のタイムライン機能の採用に至った経緯と利点
『スクスタ』のライブ演出を制作するためには、2つの要件があった。1つは原作PVやリアルライブなどを少しでも再現するため、より細かく演出をつけたいというもの。もう1つは『ラブライブ!』にある多種多様な楽曲を、1曲でも多く実装したいというものだ。これらを効率よく制作するために、Unity標準のタイムライン機能を採用するに至った。
Unityにタイムライン機能が実装されたのは2017年だが、『スクスタ』の開発当初には実装されていなかったため、独自で開発したタイムラインエディターを使用していた。Unityにタイムライン機能が実装されて以降は、独自開発のものと比較を行い、Unityのものを採用したという経緯がある。
Unity標準のタイムライン機能を採用した理由として、基本的なUIなどが揃っていて開発期間を短縮することが可能だったこと、会社・個人ともにノウハウを流用することが可能だったこと、将来的にさらに拡張される可能性があったことを挙げた。
タイムライン機能では1つのタイムライン上にトラックを何件も追加し、アニメーションやプレファブなどの複数の要素を時系列に沿って同時に再生することが可能で、特に再生時間の決まったカットシーン制作では使いやすい。
またトラック内でクリップを繰り返し再生したりブレンドしたり並び替えたりなど、視覚的にも分かりやすく設定することが可能なため、プログラムの知識がないデザイナーでも簡単に制作することができる。さらに標準機能のほかにもトラックを拡張することが可能で、プロジェクトに合わせて最適なトラックを作ることができるといった利点もあった。