「Unreal Engine5」はゲーム業界にどんな革新をもたらすか 驚くべき新機能について解説
Epic Gamesが開発するゲームエンジン『Unreal Engine5(以下、UE5)』の実機デモ映像が公開されてから早くも3ヶ月が経った。多くのゲームファンの度肝を抜いたUE5だが、具体的にどのような点が優れているのか知らない方も多いのではないだろうか。
また、Unreal Engineは先日から続いているEpic GamesとAppleとの”全面戦争”にも少なからず巻き込まれているため、気になっている人もいるかもしれない。そこで、今回はUE5に実装される二つの新機能”Nanite”と”Lumen”に焦点を当てて新時代のゲームエンジンについて解説する。ゲーム制作に詳しくない方でもわかりやすいように解説しているので、ぜひともご一読を。
ゲーム制作の手間を減らす”Nanite”
UE5は、ゲームを制作するためのソフトウェアである”ゲームエンジン”の一種だ。ゲームエンジンとしては、Unreal Engineの他に『Unity』なども有名だ。国内・国外問わず、多くのテレビゲーム・スマホアプリがUnreal EngineやUnityを用いて制作されている。
そんなUnreal Engineの最新版となるUE5の目玉となる新機能が“Nanite”だ。この機能は、ゲームの映像品質を映画と同等にまで押し上げ、開発者の負担を減らす可能性を秘めている。なぜなら、Naniteはこれまでのゲームでは当たり前だったポリゴン数の制約を取り払うシステムだからだ。
そもそも、これまでのゲーム開発ではデベロッパーに妥協や工夫を強いる部分が大きかった。PCやゲーム機で計算する以上、3DCGを構成するポリゴンの数には上限がある。ポリゴンが増えれば増えるほど計算量も増えてマシンに負荷がかかるため、近くにあるものは細かく表示し、遠くにあるものは品質を落とすという工夫をしなければならない。このような理由もあり、距離に応じてポリゴン数の異なるモデルをいくつも制作するといった作業が必要になるのだ。この作業は到底クリエイティブといえるものではなく、ゲームデベロッパーにとって大きな負担となっていたようだ。
しかし、このような面倒な工程もUE5のNaniteがあれば不要となる。Naniteが3Dモデルをリアルタイムでスケーリングし、距離に合わせてポリゴン数を変化させるからだ。そのため、ポリゴン数の異なるモデルを事前にいくつも用意しておく必要はなくなる。この機能により、UE5では数十億ポリゴンで構成された映画品質のモデルであっても直接インポートすることが可能だ。
さらに、Naniteでスケーリングした場合でも、表示される映像に損失はないということだ。つまり、デベロッパーがとことんまでこだわって制作した映像を、妥協することなくゲームに採り入れることができるのである。これまでのゲームでは、映画と比較すると映像のクオリティが見劣りしていたことは否定できない。しかし、Nanite機能を備えたUE5を活用すれば映画品質のままゲームを動かすことも夢ではない。