SEGAの「フォグゲーミング」は“アーケードの救世主”となるか? 海外メディアからは賛否両論
SEGAが、研究開発中の次世代技術として“フォグゲーミング”という新たなシステムを開発している可能性があることが、6月4日発売の『ファミ通』内の記事「ゲームのムズカシイ話」でスクープされた。
SEGA創設60周年の節目に発表
『Ars Technica』は「『ゲームギアミクロ』が最も奇妙な発表だと思っていたら、さらに「フォグゲーミング」という、これまた奇妙なコンセプトが明らかになった」と報じている(参考:https://arstechnica.com/gaming/2020/06/how-sega-hopes-to-use-japanese-arcades-as-streaming-data-centers/)。
フォグゲーミングのコンセプトは、SEGAの持つゲームセンターのアーケードゲーム機をサーバー代わりに使い、巨大なインフラを分散したストリーミングゲーム・データセンターに変えることだという。
これらのマシンは、Google Stadiaの様なクラウドゲーミングと違い、大規模なデータセンターへの投資を必要とせずに、ストリーミングゲームを自宅のプレイヤーに提供できることがメリットとして挙げられている。
同メディアは「ユニークな日本のアイデアだが、フォグコンピューティングは、全く新しいものではない」としながらも「休眠しているアーケード・ハードウェアを使用することは、ゲーム業界にとって革命的な新しい発想だ」と指摘する。
フォグゲーミングは、新型コロナウイルス(COVID-19)で苦しんでいる実店舗やアーケードゲームメーカーにとって、ビジネスの生命線になる可能性があるからだ。
また、ゲーム系YouTubeチャンネル『MrRetroGeek』は「期待していたものとは異なるが、アーケードが閉店した後も、自宅でプレイできるのは素晴らしいアイデア。アーケード界を一変させ、SEGAに成功をもたらすだろう。順調に行けば、他の国にも進出するかもしれない」と評価している。
低遅延でラグの少ないゲーム体験
そして『Kotaku』は「SEGAの新しいストリーミングプラットフォームが、日本のアーケードを小さなデータセンターに変える」と報じている(参考:https://kotaku.com/segas-new-streaming-platform-will-turn-japanese-arcades-1843919262)。
日本中に多数のサーバーを設置することは大きなハードルだが、すでにSEGAはに強力なCPUとGPUを備えたゲームセンターを約200カ所保有しており、基本的なインフラは整っている。
自宅でフォグゲーミングにログインすると、アーケードが使用するのと同じクラウドサーバーに接続し、最も近いサーバーが自動的に割り当てられる。プレイヤーは、そのゲームのキャビネットに接続されているアーケード内のサーバーから画像や音声を取得するため、ラグの少ないゲーム体験が可能になるという。
このシステムには、アーケードのコンピューティングパワーを効率的に使用できるというメリットもある。現状、プレイされていない時は、その電力はアイドリング状態になっているため、フォグゲーミングは、アーケード業界に新しい命を吹き込み、全く新しいビジネスモデルの開発に役立つとしている。
YouTubeチャンネル『SEGAbits』は「SEGAはこれにより、予想よりもさらに長期間、アーケード事業を続けることがわかった」と伝えている(参考:https://www.youtube.com/watch?v=o6XBIhtFg58)。