メイク動画の新潮流「量産型・地雷系」はなぜ人気? 藤田ニコルから峯岸みなみまで、ヒット動画とともに考察

 そして、メイク動画が盛り上がったきっかけは、やはりふくれなによる「【整形級】推しを騙す。120%盛れる量産型メイク」(からで、約260万再生されたこの動画が公開された2月の後半以降、人気女性YouTuberのみならず、りゅうちぇるや藤田ニコル、峯岸みなみといったタレントまでがメイク動画を公開している。

地雷メイクやってみたぞ。
地雷系メイク💓🎀💓盛れすぎて感動ぴえん
【ぴえん】アラサーだって量産型メイクがしてみたいっ!!!!【ぱおん】

 なぜ今、これらのメイクが流行っているのか。もちろん「盛れる」という理由が第一だろうが、もしかしたら、新型コロナウイルスにより在宅時間が長いゆえに、「どうせ外に出られないから、ちょっと変わったメイクを試してみたい」という視聴者の需要とマッチしているかもしれない(YouTuber自身も、量産型、地雷系女子当事者である場合は少なく、「やってみた」と銘打って行っているケースも多い)。そう考えると、2月から動画が急増したことにも説明がつくのではないだろうか。

 どちらの概念も当初は、主に異性からの蔑称として使われていたはずなのだが、いつの間にか「かわいい」とされるようになった経緯がある(Mのように「量産型ファッションが好き」という男性は、まだまだ少数派だとは感じるが)。そもそも「オタク」という言葉自体も当初は蔑称だったはず。まったく言葉というものは面白いものである。

 女性向けファッション雑誌にて、「推し」特集が組まれることもそう珍しくなくなり、身近な恋愛やデートのような「身近な異性に受ける」だけが「装い」の動機ではなくなった現在。この傾向が進んでいくと、もしかしたら「量産型」「地雷系」が、今後女性ファッションの市民権を獲得する日が来るのかもしれない。

■藤谷千明
ライター。81年生。ヴィジュアル系バンドを中心に執筆。最近はYouTubeや恋愛リアリティ番組なども。共著に「すべての道はV系へ通ず。」(市川哲史氏との共著・シンコーミュージック)。Twitter

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