AZKiマネージャー・ツラニミズに聞く“VTuber文化に必要なもの” 「目が外に向いているから、ブレずに進める」
「数十年ぶりになにか新しいものが生まれるんじゃないか」
ーーVTuberをプロデュースしてみたい、マネージャーとして一蓮托生でなにかを作り上げていきたい人って、昔と比べて今だと結構いると思っているんですが、そういう人たちに向けてなにかアドバイスだったり、伝えたいことなどありますか?
ツラニミズ:とりあえず私生活はなくなります。労働時間が長いとかそういう話ではなくて、勤務時間以外の時も常に仕事のことを考えてるし、そういう意味では「好き」だけでできることでもないと思っています。あと、個人的に「自分が携わっているコンテンツの価値を自分で決めちゃう人」は向いてないのかなとは思います。物事を測る時に、最終判断はあくまでファンという考え方を持たないと難しいかも。
ーー5thライブも新型コロナウイルスの影響で中止になってしまったりと、バーチャルの業界ではあるものの、小さくない打撃を受けている状況だと思います。それを踏まえて、収束後のVカルチャーや、もう少し広い視点でこうなるかもしれないと予想していることはありますか?
ツラニミズ:色んな側面があると思っています。ポジティブな話をすれば、ビジネスの在り方やコンテンツの在り方、カルチャーの在り方を見直す時期でもあるなと。そもそも今までの体制ってこれでよかったんだっけ、正しかったんだっけ、これってリモートでもよかったんじゃないかと改めて考えるきっかけでもあるし、ここから新しいものが生まれてくるんでしょうね。コロナ後に何ができるのか、何を残せて何が残らなそうなのかというのは、最近すごく考えます。
ーーツラニミズさんの考える「残るもの」と「残らないもの」とは?
ツラニミズ:ライブや現場は残ると思うんですけど、それをやる箱の在り方は変わってくるはず。個人的には、少し不謹慎かもしれないんですけど、音楽の歴史における「サマー・オブ・ラブ」のようなことが起こるかなと。あれって広義的には世界的なフラストレーションに対して、カウンターカルチャーとして生まれたものでもあるわけじゃないですか。その延長線上で考えると、クラブに行けない、ライブに行けない、でも音楽を続けるって、この数十年で1回も起こってこなかった無理難題を課されているからこそ、そこから生まれる新たな音楽の形やジャンルが、この機会に生まれてくるんだろうなって気がしていて。ポジティブに考えれば、そういう意味で可能性が広がる部分はあると思います。
ーー確かに新たなジャンルが生まれるという意味では、コロナは1つの大きなきっかけになりそうですね。
ツラニミズ:元々カウンターカルチャー的な要素が強い一面があった音楽が、カウンターするものがなくなってきて、カウンターカルチャーじゃなくなってきてるじゃないですか。だからコロナに対しては、完全にカウンターカルチャーとしてクリエイティブ制作ができる気がして。数十年ぶりになにか新しいものが生まれるんじゃないかという予感があるからこそ、この辛い時期を頑張れているところはあります。
ーーもちろん精神的に辛い部分はあると思うんですけど、そこから何かを生み出そうとする時に立場がはっきりさせやすいと。
ツラニミズ:こういう動きって、日本にいるからあんまり感じないだけで、たぶん世界の色んなとこにいると、どこどこで紛争が起きていて、それに対してのカウンターみたいなことをしてる人ってたくさんいると思うんですよ。それは暴力的な行為じゃなくて、アートの領域に落とし込んで訴える創作活動をしている人がいる。ただ、日本人はそれを自分ごととして捉えている人は少ないと思っていて。でも今回のコロナは自分ごとなので、今までよりももっと刺さるし、もっと考えさせられるし、そういう意味ではすごいことが起こりそうだなと思います。
■リリース情報
新曲3曲リリース第一弾
『Intersection』配信中
〈収録楽曲〉
1.Intersection(作詞・作曲・編曲 : lapix)
2.Intersection(TOMOYU funkot remix)
3.Intersection(Instrumental)
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