半田付けキット、携帯ビデ、BDSMバーチャルレッスンなど…… コロナきっかけに登場した奇妙なクラウドファンディング
「新型コロナウイルスの脅威が広まるにつれて、クラウドファンディングサイトKickstarterで新型コロナ関連のキャンペーンが増えてきた」……という文章からどんなキャンペーンを想像するだろうか?
想定範囲内のものから意外なものまで、筆者が見かけた新型コロナ関連キャンペーンの数々を、高尚なものも、ともすれば不謹慎なものも、全部ひっくるめて40くらいざっとご紹介していこう。(なおマスク類は別記事で紹介しているのでそちらもどうぞ)
トイレットペーパーの代替品に携帯ビデ
新型コロナウイルスに関連して、TPことトイレットペーパー不足が日本で起きたのは記憶に新しいだろう。これは日本以外でも起きた現象であり、それをネタにしたキャンペーンも見られた。
2020年の「20」とTPを刺繍であしらったTシャツのような風刺的なものもあれば、より真面目なものでは携帯型のビデや、洗って何度も使える布製の尻拭き「ペーパーレス」ワイプというものも。
「なにそれ、冗談かよ(笑)」と思われる方もおられるかもしれないが、文化によってはビデやその他の方法によりトイレットペーパーを使用せずに臀部を清潔に保つところもあったりするし、日本でも紙おむつが普及するまでは洗って何度も使う布おむつが主流だったことを考えれば、TPが無くなったら布製尻拭きも十分あり得る代替手段だ。
他にもトイレ関連では、トイレレバーを使用した後に動きを検知してUVライトを照射殺菌するガジェット、しっかり手洗いに必要な20秒間明かりの灯るソープディスペンサーもあった。
子供もオトナも遠隔教育
テレワークにせよ遠隔教育にせよ、新型コロナのせいで自宅でずっと過ごしていてつまらないという人のために、教育を提供するためのキャンペーンもある。
自己隔離で暇な子供のための半田付けキット、既存の子供向け教育ボードゲームの「e-エディション」、自閉症の我が子と作った自閉症の子供向けにコロナウイルスを理解してもらうためのコミック。
「大人向け」な内容の教育キャンペーンの方では、オンラインサーカス/ファイアーパフォーマンスのライブ動画やワークショップや、キンキー・サロンのアーティスト達からポールダンスやドラァグクイーンメイクとかBDSMなどのバーチャルレッスンなどが受けられるというものがある。
ボードゲームやトランプなども
ゲーム系キャンペーンにはパンデミック状況をネタにしてゲームを作っているものも多くみられ、そのほとんどは「COVID-19パンデミックを馬鹿にしているわけではありません」といったような前置きをつけている。教育的なものや、利益の一部を寄付するといったものもあるとは言え、ものによってはその内容が不謹慎と感じられるものもあるだろう。
中でも新型コロナウイルスの状況はボードゲームクリエイターの(そしてこれまでボードゲームを作ったことのない人たちの)インスピレーションともなったようで、きちんと作られたものから手作り感溢れるものまで見られた。
『Clinic』(クリニック)という既存のボードゲームのCOVID-19エクスパンションや、TPを買うために店に行くにはマスクと手袋も買わなきゃ行けないボードゲーム、自己隔離に暇を持て余した10歳の子供が作った新型コロナをテーマにしたボードゲーム、54歳のコンピュータ・ハードウェア・エンジニアが作ったウイルス治療のためクリニック巡りをするボードゲーム。
ボードゲームよりもシンプルなカードゲームでもコロナをテーマにしたものが存在する。コロナから市民を守るというカードゲーム、TPを蓄え込むカードゲーム、変わりどころではワクチン/投薬/抗体により新型コロナやHPVをやっつけるという内容の微生物学者准教授が作った微生物学カードゲームもあった。
カードゲームとは別に、新型コロナウイルステーマにしたトランプというのも。これは普通のトランプに新型コロナウイルス対策情報が記してあるものや、普通のトランプに新型コロナウイルス対策をピクトグラムで表したものだ。私の理解の範囲を超えた世界ではあるが、世の中にはトランプコレクターという沼も存在するのか、Kickstarterでは日頃から様々なデザインのトランプのキャンペーンや、トランプデッキ収納用ボックスキャンペーンなどもあるので、もしかしたらその延長上としての存在なのかもしれない。何年も経ってから「ああ、こいつは2020年の新型コロナ危機の時に作られたレアなデッキなんだぜ。今日はこいつで一戦交えようか」と言って神経衰弱をするのだろうか……。
自宅にずっといて何をすれば良いのか判らないという人のためのダイスというのもあった。各面は「Netflix」、「Tiktok」、「Spotify」、「YouTube」、「ビール」、「セックス」、を示しており、サイコロを振って出た目のことをするというわけ。ルーク・ラインハートの小説『ダイスマン』の主人公のような自宅隔離生活が送れる。
このほかスマホ用にウイルスをやっつけるARゲームのキャンペーンもあったが、このほかにデジタルゲームは見当たらず、カードやボードゲームのような物理的なゲームが多いのは面白い傾向だ。