Facebookと欧州委員会、インターネット規制に対する意見で対立

 欧州連合(EU)の欧州委員会担当者らは2月17日、ドイツを訪問した米ソーシャルメディア大手Facebookの創業者でCEOのマーク・ザッカーバーグ氏と会談した。

 EUは、インターネット上に流れるフェイクニュースやテロ情報等を規制するデジタルサービス法制定に向けて動いており、今回はその準備の一環として意見交換が行なわれた。

ザッカーバーグ氏の規制提案、欧州委「不十分で責任逃れ」

 『Financial Times』によると、ザッカーバーグ氏は「未来への展望:オンラインコンテンツ規制」と題した13ページからなるホワイトペーパーを提出したという(参考:https://www.ft.com/content/81ae47b0-51a9-11ea-8841-482eed0038b1)。

 その文書の中で、Facebookは「国家ごとではなく、グローバルなポリシーが必要で、インターネット企業はプラットフォーム上のコンテンツに対して一切の責任を負うべきではない」と主張。さもなくば、言論の自由が制限されるとしている。

 Facebookは、その代わりにインターネット企業は、違法コンテンツ対策を行なうための基準とシステムを備えているかを説明すべきだとした。また、企業がコンテンツモデレーション・テクノロジーを試すことができる柔軟性も求めた。

 しかしティエリー・ブルトン委員(フランス)は、Facebookの提案について「不十分で、責任と規制が小さ過ぎる」と否定的で「我々の基準に対して不要なものは、規制するように、デジタルサービス法に盛り込むべきだ」と述べる。一方で、人工知能を使用して危険なコンテンツを検出するFacebookの取り組みは評価し、考慮するという。

 ヴェーラ・ヨーロヴァ委員(チェコ)は、インターネットを研究者や第三者が監査する「ブラックボックス」アルゴリズムを提案し「Facebookのような企業には、民主主義を守るために更なる努力をして欲しい。Facebookは、全ての責任から逃れることは出来ない」と釘を刺した。

 ザッカーバーグ氏は中国を例に出して、過剰な統制は個人の表現を圧迫するリスクがあると警鐘を鳴らした。同氏は「民間企業が決定を下したくない。規制がないならば、我々は出来る限りのことはする」と述べる。

 Facebookは、言論の自由を理由に政治広告のファクトチェックをしていないが、そのポリシーは、各方面から批判されている。

 ザッカーバーグ氏は、ロシアといった国家が絡んだ情報操作のオンラインキャンペーンへの認識が遅れたことは認めている。

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