『初音ミク Project DIVA』10周年最新作が発売 初音ミクが刻んだ足跡を振り返る

『初音ミク Project DIVA』の10年を振り返る

 2020年2月13日、『初音ミク Project DIVA MEGA39’s』(以下、MEGA39’s)がセガゲームスより発売となる。同作は、2009年発売の『初音ミク -Project DIVA-』を初作とするリズムゲームシリーズの最新作。家庭用のみならず、アーケードでも展開が続く人気シリーズの、発売10周年を祝うアニバーサリータイトルだ。

 名前からもわかるとおり、同シリーズの主人公は、ボーカロイド・初音ミクである。2007年、音声ソフトとして登場して以降、すぐにインターネットカルチャーの寵児となった彼女。本コラムでは『MEGA39’s』の発売を記念し、初音ミクが現在のカルチャーシーンに与えてきた影響を考察する。

「ボカロ」という言葉を定着させた初音ミクの功績

 今や誰もが知り、使うところとなった“ボーカロイド(ボカロ)”という言葉は、初音ミクの登場によってシーンに定着した。現在でこそ、ひとつの音楽カテゴリとして成立しているボカロ楽曲だが、彼女の登場以前(正確にはボーカロイドソフトの登場以前)は生身の人間による歌唱が当たり前。歌えないクリエイターは、ボーカリストに協力してもらうことでしか歌モノを発表できない時代だった。

 2007年にボーカロイド・初音ミクが発売されると、サブカルチャーのるつぼだったニコニコ動画などでたちまち話題に。彼女をボーカルに起用した楽曲が次々と生まれ、初音ミクとボカロ楽曲は大きなカルチャームーヴメントとなっていった。

ボカロカルチャー創成期の人気曲「みくみくにしてあげる♪【してやんよ】」
和楽器バンドやAKB48のカバーでも知られる「千本桜」

 やがてボーカロイドを駆使しながら活動するクリエイターを「ボカロP」と呼ぶようになる。近年ではこのカテゴリ出身のクリエイターが、ポピュラーミュージックシーンで活躍する姿も目立つ。「Lemon」や「パプリカ」などのヒットにより、国民的シンガーソングライターの地位に上り詰めた米津玄師もそのひとりだ。彼は現在の名義で活動する以前、ボカロP・ハチとして数々のボカロ楽曲を発表している。

米津玄師がハチ名義で発表した「砂の惑星 feat.初音ミク」

 このように初音ミクが「ボカロ」という言葉を定着させ、シーンに与えてきた影響はあまりにも大きい。もしボーカロイド・初音ミクが発売されていなかったら。普段聴いているその音楽は、この世に存在しなかったかもしれない。

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