iPhone 9(SE2)は約44,000円で販売か? Apple中国工場の再開はまだ不透明

 3月にリリースされると噂されているiPhone SE後継機種の価格がリークされた。iPhone 9あるいはiPhone SE 2という機種名になると予想されているこの機種は、期待を裏切らない廉価となるようだ。もっとも、同機種を組み立てる工場の先行きはいまだ不透明である。

iPhoneはAppleサービスの自販機

 ビジネス系メディア『Fast Company』は7日、iPhone 9(SE2)の価格に関するリーク情報を報じた。ある情報筋によると、iPhone 9(SE2)は399ドル(約44,000円)の可能性が高いという。同機種はiPhone 8に近いデザインになるものも最新のチップを搭載し、ディスプレイはLCDになると見られている(同機種の予想仕様に関しては既報を参照)。

 iPhone 9(SE2)が廉価となることに関して、Fast Companyの記事はふたつの理由を指摘している。ひとつめは、インドと中国の市場を意識していることである。このふたつの市場は人口的に見れば巨大市場であるものも、低価格の機種を好むユーザが多い地域でもある。こうした市場の嗜好に応えるかたちで、同機種は廉価で投入されるのだ。ふたつめの理由は、廉価なiPhoneを投入することによってiPhoneの普及をさらに推進して、Apple Musicをはじめとした各種サービスをより多くのユーザに利用してもらいたいからだ。同メディアの記事ではAppleの各種サービスに対してiPhoneは言わば「自販機」であると表現し、その重要性を強調している。

 今年最初となるAppleのプレスリリースでサービス事業の好調ぶりをアピールしたように、同社は近年サービス事業の拡大に注力している。こうしたビジネス戦略は、同事業の利益率が64.4%なのに対し、Apple製品のそれは34.2%、iPhone 9(SE2)であっても53%だと見られていることを考慮すると、非常に理にかなったものと言えるだろう。

中国工場は操業再開に向け検査中

 iPhone 9(SE2)のリリースに関しては、新型コロナウイルスの影響によるApple中国工場の操業停止により、果たして3月に発表されるかという懸念がぬぐえない。中国工場の近況については、ロイター通信の9日付の記事が報じている。Apple中国工場の最大拠点がある深センの龍華区の行政当局は9日にWeChat公式アカウントを通して声明を発表し、現在はまだ操業再開に向けた検査を実施している最中であり、検査が完了次第、操業を再開するとしている。

 Apple中国工場の操業再開について、Apple専門ニュースメディア『9to5Mac』は9日にApple動向予測で著名なアナリストMing-Chi Kuo氏のコメントを引用した記事を公開した。同氏によると、深センにある工場における2020年リリース予定のiPhoneを開発する部署は春節のあいだも稼働していた一方で、製品組み立てをはじめとしたそのほかの部署は2月10日より操業再開を予定していた。しかし、「少なくともあと1週間」は再開が延期されると見られている。

 またiPhone 11の製造と2020年リリース予定のiPhoneの開発を担当する上海工場の部署は、2月3日から稼働していた。そして、iPhone 9(SE2)の製造を担当する部署は2月10日から操業再開が計画されていた。だが、新型コロナウイルスの感染源である武漢市から500キロメートル以上離れている上海工場であっても、「少なくとも数日」は操業再開が遅れるだろう、とKuo氏はコメントしている。

関連記事