世界的天才コーダー、アイドリス・サンドゥが語る「テクノロジーを駆使する“文化のアーキテクト”」の使命とその先

世界的天才コーダーが考える「文化のアーキテクト」

 わずか13歳にして世界最高峰のテック企業Googleのインターンを経験。15歳でTwitterのデータ解析、16歳でInstagramへアルゴリズムを提供、18歳を過ぎる頃には、UberやSnapchatのコンサルを歴任、また今年亡くなった人気ラッパーで、自身が暮らすコミュニティの発展に情熱を注いでいた故Nipsey Hussleとのスマートショップを実現したことを始め、Kanye West、Jaden Smithといったミュージシャン、さらには人気ラグジュアリーファッションブランド「Off-White」を手がけるVirgil Ablohとのコラボレーションなど、テクノロジーを起点に様々なカルチャーの発展にキーマンとして関与する若き天才コーダー、アイドリス・サンドゥをご存知だろうか? 

 この誰もが羨む”華麗すぎる経歴”を持つ人物は実は長年、業界でその名を知られてきたベテランではなく、なんとまだわずか22歳の若者。まさに天才という名をほしいままにする彼は自らのことを「ソフトウェアエンジニアでもないしプログラマーでもない。俺は、“文化のアーキテクト(建築家)”だ」と語る。

 そんな彼が、今回メディア「HEAPS」のイベントのために初来日した。HEAPSは、NYと東京に拠点をおき、個人の視点と世界の文脈を繋ぐことをミッションに世界各地の出来事をいち早く独自取材して日本に届けるカルチャージャーナリズムのメディアだ。新たに主催するシリーズイベント「Don’t Blink(ドント・ブリンク)」にアイドリス・サンドゥを招致し、11月30日、12月1日の2日間に渡り、トークと日本の識者とのディスカッションを行なった。それに伴い、リアルサウンドテックでは、11月30日に行われたアイドリス・サンドゥによるトークショーに潜入。今回はその内容をリポートする。

 「Don’t Blink」は、その言葉の意味である“見逃さない、見落とさない、見ないふりをしない”というHEAPSのストーリーテリングの姿勢をそのままに、時代と社会の問いや課題に対して実際にアクションを仕掛けていくシリーズイベントとなる。同シリーズのVol.00に、世代の視点と身体性を兼ね備えたビジョンでこれからのテックを考えるアイドリスを選んだ。

 トークショーではまず、「これから話すのはあくまで自分の主観的な意見、話であり、業界の真実を全て映し出しているわけではない」と前置きした上で、まだ若干20歳そこそこながらテック業界における輝かしすぎるキャリアを持っている彼自身が、自らの肩書きを”デザイン・アーキテクト”と称するのを好む理由が語られた。

 ”デザイン・アーキテクト”とは、アイドリス曰く、「一言で言えばクリエイトできる人間」を指すものであり、これまでの彼のキャリアを振り返るとまさにその肩書きはバッチリはまるものだと言える。彼自身は大学にも通っておらず、資格も持たない人間がこの肩書きを名乗ることに対して、「これからは自分自身で自分にレッテルを選んで張る時代で、あくまで自分の人生を主体的に生きていく中でこういった肩書きを選んだ」とその理由を明かした。

 その中で”アーキテクト”とは一般的には”建築”を意味する名詞だが、彼自身はそれを名詞ではなく動詞として捉えており、「自分は動詞としてのアーキテクトを表す人間。動詞は生きているものだから、動詞としてのアーキテクトは概念を実現させる継続的なプロセスを表す言葉」と語ったことが印象的だった。

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