『テラスハウス TOKYO 2019-2020』、“東京の今の若者像”を描き続けた2019年を振り返る
今シーズンは“都市生活を送るキラキラした若者像”が映し出される代わりに、恋愛濃度はそれほど高くなく、どちらかといえば、そっち方面は停滞気味である。それよりも、テラスハウスに住まう若者たちの自己実現の在り方、行方にフォーカスした内容になっていたのが、ここまでの特徴だ。それだけに卒業シーンも、同居人同士のカップル成立による卒業は今のところ見られず、その意味では、これまでで最も異質なシリーズになっている。
しかしながら第26話では、最後まで残っていた初期メンバーの春花と流佳、そしてペッペの卒業によって、新メンバーが加入。兼ねてから、プロバスケット選手の凌を巡った女の戦いを繰り広げている女子大生の愛華と女子プロレスラーの花の三角関係に、いかにも恋愛にアグレッシブで負けん気も強そうなロシア美女のビビが乱入してきただけに、2020年は一気に『テラスハウス』らしい恋愛展開の描写も増えていきそうだ。
また新メンバーとして加入してきた、コメディアン志望の快はアメリカ人とのハーフ、リリー・フランキーの付き人であるトパスはフィリピン人、先述のビビはドイツ人とロシア人のハーフと、一気に入居者の国際色も豊かに。そこに留学経験のある凌、父親がインドネシア人の花が加わることで、今の東京らしいダイバーシティを感じるラインナップが完成した。
その意味で東京の若者における最先端のライフスタイルにフォーカスした2019年の『テラスハウス』は、東京らしい“ダイバーシティな環境”の中で展開される2020年の『テラスハウス』へと続く、進化を続ける国際都市・東京とそこで暮らす若者のリアルなライフスタイル/カルチャーを描くための大いなる前フリだったのかもしれない。このことはNetflixを通して世界配信され、今や海外エンタメ系メディアで特集が組まれるほか、入居者のSNSに海外の番組ファンから盛んにコメントが投稿される状況を考えると、あながち間違った見解ではないのかもしれない。
2020年の『テラスハウス』では、そういった部分に注目するとともに、今年後半に撒かれた恋愛要素の種が開花することで、“従来のテラハ感”が復活することにも期待しつつ、引き続き、ただただ記録されていく若者たちの共同生活をウォッチしていきたい。
■Jun Fukunaga
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター。DJと音楽制作も少々。
Twitter:@LadyCitizen69
■番組情報
『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』
2019年5月14日よりNetflixにて毎週火曜に新エピソード先行配信(4週に1週休止)
2019年6月11日よりFODにて毎週火曜深夜0時に配信予定(4週に1週休止)
2019年7月よりフジテレビにて、地上波放送予定
(c)フジテレビ/イースト・エンタテインメント