Xbox One後継機はVR非対応、一方FacebookはBeat Games買収で攻勢強める VR市場の雄たちが下した決断

 2016年に「VR元年」という言葉が語られてから3年が経過し、VR市場は曲がり角を迎えている。今年5月にスタンドアロン型VRヘッドセット「Oculus Quest」がリリースされ、2020年に発売されるPS5はVR対応することが明言されている一方で、Pixel 4はスマホ対応VRヘッドセット「Daydream View」に非対応となった。こうしたなか、VR市場のキープレイヤーたちが新たな決断を下した。

「顧客は誰もVRを求めていない」

 テック系メディア『Ars Technica』は27日、Microsoftゲーム部門エグゼクティブ・バイスプレジデントのPhil Spencer氏のXbox One後継機に関する発言を報じる記事を公開した。コードネーム「Project Scarlett」という名前で開発されている同後継機はVRをサポートしない、と同氏は発言したのだ。

 同後継機がVRに対応しない理由として、VRは孤立している一方でゲームは一種の共同体験である、と同氏は語っている。確かにVRヘッドセットでプレイヤーの視界を覆ってしまうVRゲームは、プレイ中にリアルな友だちと交流できなくなる。さらに同氏は「わたしたちは顧客が求めているものに応えます……しかし、誰もVRを求めていないのです」とも述べた。

 Ars Technicaの記事では、MicrosoftがVRに消極的な理由として、VR市場がゲーム市場におけるニッチに過ぎないことを指摘している。この指摘の根拠としてOculus Storeがオープンしてからの累積売上である1億ドル(約109億円)が、大ヒットアクションゲーム『レッド・デッド・リデンプションII』のリリース初週売上である7億2,500万ドル(約790億円)に遠く及ばないことを挙げている。

 同記事はVRがメインストリームに乗るまでには数年かかる、というSpencer氏の2016年における発言を引用したうえで、2019年現在でも未だVRはメインストリームに乗っていないようだ、とも語った。

VRは孤独ではない

 以上のようなSpencer氏の発言に対して、Microsoft製品専門ニュースメディア『Windows Central』は26日に反論する記事を公開した。同記事は、VRゲームでは共同体験を味わえないというSpencer氏の主張に対して異を唱える。そして、VRゲームにおける共同体験の事例として、マルチプレイに対応したVRFPS『アリゾナ・サンシャイン』やVR音楽ゲーム『Beat Saber』を挙げている。後者に関してはVRヘッドセットからの視界をテレビにキャストすることで、プレイヤーどうしでゲーム実況のようにして盛り上がる遊び方があることを指摘する。

 さらにVRゲーム市場にはキラーコンテンツがないという批判に対しても、反論している。反論の根拠として、人気FPSシリーズ「Half-Life」の12年ぶりの新作『Half-Life: Alyx』がVRゲームとして2020年3月にリリースされることを述べている(下の動画参照)。同ゲームがキラーコンテンツとなりVR市場を変革するかどうかは不明であるものも、同ゲームが開発されリリースされること自体がVRゲームに依然として魅力と可能性があることを示している。

YouTube「Half-Life: Alyx Announcement Trailer」

 以上のように反論を展開したうえで、Xboxプラットフォームは伝統的にコアゲーマーのニーズにも応えてきたので、VRゲームを愛好するコアゲーマーのためにこそXbox One後継機はVR対応すべき、とWindows Centralの記事は主張した。

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