『バチェラー』の熱狂を生んだSNSの功罪 危うくも魅力的なシーズン3を振り返る

 10月26日に最終回を迎えた「バチェラー・ジャパン シーズン3」の結末が、いまだ物議を呼んでいる。

 『バチェラー・ジャパン』とは、Amazon Prime Videoが製作する、恋愛リアリティ番組のこと。成功を収めた1人の独身男性(バチェラー)をめぐって、20名の女性たちが火花を散らす、“リアル婚活サバイバル”。現在シーズン3まで配信されており、ギャルタレント・ゆきぽよ(木村有希)らを輩出している人気番組だ。本サイト「リアルサウンド テック」でも、詳細なレポートが毎回掲載されていた。

 『あいのり』、『テラスハウス』、『オオカミくんには騙されない』etc……。いつの時代も恋愛リアリティ番組は大人気。そもそも私たち(※主語が大きい)は、“恋愛模様”を観察するのが大好きだ。とはいえ、現実世界でおおっぴらにやると角が立つ。恋愛リアリティ番組は、“堂々と他人の恋愛を語る権利”を私たちに提供してくれる。私も例にもれず、毎週のようにLINEやTwitterで“感想戦”を繰り広げていた。

 恋愛リアリティ番組は(まったく台本がないとは誰も思ってないだろうが)フィクションと違って、現実との境界線は曖昧だ。また、参加人数が少ない(ので、番組側のSNS管理が行き届きやすいであろう)『あいのり』や『テラスハウス』シリーズとは違う、『バチェラー』ならではのSNSへのゆるさもあるように思う。視聴者がSNSで番組の展開をつぶやくと、出演者から「いいね」がつくこともザラだ(ちなみに、忌憚なく番組を語りたい“ガチ勢”の中には、あらかじめ出演者のSNSを全員ブロックしているという猛者もいる)。この数年の恋愛リアリティ番組の盛況は、SNSを通じた“見る側”と“見られる側”の共犯関係も大きな要素であることは間違いないだろう。

 また、「シーズン1・2」とも、“結婚を前提に”成立したカップルがほどなく別れているのも、むしろ安全に楽しめる要素として捉えていたように思う。

 しかし、「シーズン3」は『バチェラー』のセオリーを大きく逸脱することになる。配信後、「真の最終回」の存在が予告される。そしてそこで、バチェラー・友永真也が、最終回で選んだ水田あゆみではなく、最後まで迷いを見せていた岩間めぐみと交際中であると宣言。急遽追加エピソードを配信できるのは、地上波ではないネット番組ならではの采配といえるが、当然視聴者たちのSNSは大荒れに荒れた。さらに放送前から岩間は自身のInstagramで交際を匂わせていたことなどから、個人攻撃に発展してしまう。

 一方の友永に対しても、これまでの番組内での言動についての重箱の隅を突くような批判や(“繰り返し見ることができる”配信番組の利点がここでは短所になってしまった)、追加エピソード内において、水田との関係を精算する前に岩間へアプローチしたことを咎める田尻夏樹に対して、友永が睨みつけたとされるスクリーンショットが拡散され、人格攻撃のような書き込みがSNS上で多数見られた。最終的に彼の独特な語り口調を模倣する「#友永構文」が突如流行(参考・https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1910/31/news105.html)。

 初代バチェラー・久保裕丈や、60万人を超えるフォロワーを持つSHARP公式アカウントなども友永構文ツイートを投稿。不思議な盛り上がりをみせ、バッシングは落ち着いたものの、これはこれで友永への人格攻撃ととらえる向きもあった(なお、筆者は自分のTwitter上で、このネタに全乗っかりしました)。

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