BitStar渡邉拓と七瀬大空が語る“バーチャルタレントの可能性”と研究拠点の大切さ

「大変なのは『コミュニケーション』」(七瀬)

ーーここからは七瀬大空さんにもお話に加わっていただきたいと思います。七瀬さんから渡邊さんに聞きたいことはありますか?

七瀬大空(以下、七瀬):Akihabara LabのVTuberには将来どのような活躍をして欲しいですか?

渡邉:YouTuberの方が国民的スターを目標にしているように、VTuberの方にも国民的キャラクターになることを目指してほしいです。特にバーチャルYouTuberはプラットフォーム関係なく、キャラクターとしての価値やIPとして大きな存在になっていく可能性が非常に高いと思っているので、プラットフォームとか国境に関係なく活躍して、広く愛されるような存在になってくれたら嬉しいです。あと、コンテンツを作るうえで「得意なこと」「やりたいこと」「マーケットに求められること」の3軸があるんですけど、そこのベクトルは意識しつつ、個人の自己実現に役立ててもらって、みんながwin-winになる形を目指していければと思います。

七瀬:ありがとうございます。VTuberだけでなくYouTuberでも、歌を中心に活動している人が増えていますが、その中で“歌手を目指すインフルエンサー”をどういうふうに支えたいと考えていますか?

渡邉:プラットフォームと国境を越えるっていう観点でいくと、音楽自体がそういうことを可能にするコンテンツだと思っているので。単一のプラットフォームや国で考えるのではなく、マルチプラットフォームで、グローバルも含めてコンテンツ展開できるようにサポートできればと考えています。

ーー先ほどVTuberファンはアニメ好きの方が多い、というお話があったことを踏まえると、音楽面ではアニソン的な方向性に振っていくのか、グローバルなものを意識して発信していくのか、どちらなのでしょう。

渡邉:両軸を試しながら活動していこうと思っています。音楽活動って、地下アイドルさんたちもそうですけど、足元は結構地道にやらないといけないところがあるかなと思っています。小さく育てて積み上げていくなかで、大きくしていかなければいけないかなと。だからこそ、地道に支援できるように頑張ります。

七瀬:ちなみに、VTuberの案件を実施した企業さんからは、どういう反応をいただいているんでしょうか?

渡邉:VTuberさんだと熱狂的な視聴者の方が多いので、ライブや即効性のあるPRに関してはものすごく賑わっていて、爆発力もあると感じています。そういった反応を見て、いい評判をいただけることは多いですよ。特に僕らの中で一番手応えがあったのは、ゲーム内にキャラクターを登場させる施策ですね。ときのそらさんとスマホアプリゲームの『グリモア(グリモア~私立グリモワール魔法学園~)』のコラボは、かなり多くの方がアプリをインストールする段階までつながりました。生配信でプレイする際も、一気に人が殺到する印象です。

七瀬:VTuberとしての活動を案件に繋げるために、どのようなところに気をつければいいでしょうか?

渡邉:先ほどお話した「やりたいこと」「得意なこと」「求められること」のなかだと、個人的にはまず「世の中に求められること」にフォーカスした方がいいかなと思っています。YouTuberでもよくあるんですが、自分自身は好きでも、あまり視聴者の方から求められていないコンテンツは、再生数が伸びない傾向にあって。求められていることを積み重ねていって、大きくなっていって、その結果として本人にファンが付いて「何をやってもそのコンテンツが伸びる」状態になったうえで、「やりたいこと」をやるべきなのかなと。あとは現実問題でいくと、視聴数が平均して1万を超えてくるようになると、PRやタイアップなどの依頼も増えてくるので、当面は急がず、地道に視聴者さんに喜んでもらえるコンテンツ作りに注力していくことが大事です。僕からも七瀬さんに質問したいのですが、やりがいを感じる瞬間を教えてください。

七瀬:「自分の関わった動画や配信が世に出て、評価を目の当たりにした時」ですね。世の中に送り出した時点で、自分の中で相応のやりがいは感じているのですが、視聴者の皆様に良い評価を頂けたときの気持ちには勝りません。

渡邉:では、大変だと思うことは?

七瀬:「コミュニケーション」ですね。収録に際しては、事前にスケジュールや内容の報連相、現場レベルでの意見の出し合いなど様々な形でコミュニケーションが必要ですし、他のVTuberの方とお仕事させて頂く際には、より深いコミュニケーションが必要な場面もあるので、そういったものに苦手意識のある自分としては日常的に挑戦の連続であり、大変だなぁと思うことはあります。

ーー今後、Akihabara Labを使った展開に関して、実現していきたい具体的なチェックポイントはあるのでしょうか。

渡邉:まずは10万以上のチャンネル登録者数を持つバーチャルYouTuberを生み出したいですし、もう少し先の視点ですと、VRコンテンツやアニメなど、配信以外の世界へ進出できるIPとなるキャラクターになってもらえればと思います。状況によっては、他社さんと協業して成功例を作っていければと。

ーー市場規模については、どのように見ていますか。

渡邉:投げ銭の量は全体で見ると増えていると思いますし、物販、イベントに関しても増加してる傾向はあると思います。個人的にはキャラクターを通じて配信する人が増えれば増えるほど、視聴者も増えると思っているので、どんどん今後もマーケットとしては伸びていくんじゃないのかなと考えています。実際、抵抗感がなくなってきているからか、配信者はどんどん増えていますし、ジャニーズさんがSHOWROOMでバーチャルタレントを展開するなど、これまでにはない裾野の広がり方をしている状況です。冒頭にお話ししたコンテンツのリッチ化が進めて、もっと多くの人を巻き込める文化にしていければと思います。

(取材・文・撮影=中村拓海) 

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