Facebook、またしてもプライバシー保護に問題 音声チャットを人間に聴かせていたと認める

 Facebookは、Messengerでユーザー同士が交わす音声の文字起こしを、委託先企業に外注する形で行っていたことを初めて認めた。

親密な会話の聴き取りに従業員が疑問

 プライベートなコミュニケーションを行なう場所である「Messenger」の会話が、他人に筒抜けになっていたことは大きな懸念事項だ。

 影響を受けたのは、Facebook Messengerのチャットで文字起こしすることを選択していたユーザーだという。文字が自動で起こされているかに思われていたが、生身の人間が、会話を聴き、書き起こす作業をしていたのだという。理由は、ツールの正確性を評価するためだとしている。

 具体的にどのくらいの規模で書き起こしが行われていたかは分かっていないが、あらゆる会話が対象になり、男女の非常に親密な会話もあったという。目的を知らされずに作業を行っていた委託先従業員は、倫理的に疑問を抱いたことを明らかにしている。

 『Forbes』は「13億人のFacebook Messengerユーザーがアカウントを削除すべき理由」と見出しを打ち、音声聴き取りについて「ユーザーは、聴き取りが人間によって行われることを知らなかった可能性がある。Facebookのポリシーは、データ収集する事には触れているが、明示的ではなかった」と指摘している(参考:https://www.forbes.com/sites/kateoflahertyuk/2019/08/14/did-facebook-just-give-13-billion-users-a-reason-to-delete-their-account/#56c699411662)。

 Facebookは、すでにこの音声書き起こし作業を停止したとしており、Facebook広報担当者は「AppleやGoogleと同様に、人間による音声のレビューを一時停止しました」とコメントを出している。

音声の広告利用は否定

 この問題については、CEOのマーク・ザッカーバーグが以前にそれを問われた際、否定していたことも尾を引きそうだ。

 『Digital Trends』は「センセーショナルなメッセージが見つかった場合、それらのメッセージ送信を停止します。ソーシャルネットワークで一般的に行うのと同じツールを使用してスキャンし、悪用を防いでいます」という昨年Facebook CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が発したコメントを掲載した(参考:https://www.digitaltrends.com/news/facebook-admits-it-was-also-listening-to-your-private-conversations/)。

 上述の記事にて、セキュリティ研究の専門家ショーン・ライト氏は「Facebookはユーザーのプライバシーをほとんど考慮しないことを何度も示している」と述べている。

 『The Guardian』は「自動化されたシステムの人間による監視は、テクノロジー業界では一般的だが、ボイススピーカーとチャットプログラムはプライバシーに関して非常に懸念があるため、企業はユーザーの期待を実際の慣行に合わせるのに苦労している」と指摘した(参考:https://www.theguardian.com/technology/2019/aug/13/facebook-messenger-user-recordings-contractors-listening

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