『BanG Dream! 3rd Season』モーションキャプチャ撮影現場に潜入 監督・アクターにも直撃

 アニメ、ゲーム、コミック、声優によるリアルライブなど様々なメディアミックスを展開する次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』について展開中の特集【アニメ『BanG Dream! 2nd Season』の3DCGはどのようにして生まれた? 制作陣を徹底取材】。これまではサンジゲン代表取締役の松浦裕暁氏、同社モデリングディレクターの武内泰久氏のインタビューを交え、3DCGへと舵を切ったアニメ制作の裏側に迫ってきた。

 今回は『BanG Dream! 3rd Season』の制作がスタートしたこともあり、モーションキャプチャの撮影現場に潜入。柿本広大監督や、映像制作を担当している株式会社exsaの新家勇太氏と佐藤純恵氏、アクターの木須実怜花、すぎやまみき、Asucah、牛谷琴音、そしてRAISE A SUILENのメンバーでありながら自身でモーションアクターも担当する夏芽のインタビューとともに、その裏側を前後編でお届けしたい。(編集部)

「各自で“キャラクターっぽく落とし込む”作業が必ず生まれる」(新家)

――まずは新家さんと佐藤さんに伺いたいのですが、モーションキャプチャで作品やライブシーンを作る工程の中で、一番工夫した点は?

新家勇太(以下、新家):技術面よりもまず前提になるのは、アクターさんの演技を活かし尽くすことです。キャラクターとアクターさんは、等身から何から違うので、キャラクターっぽく落とし込む、という作業が必ず生まれてきます。

(左から)柿本広大監督、新家勇太氏、佐藤純恵氏。

――キャラクターっぽく落とし込む作業、というのは?

新家:キャラクターのモデルによってさまざまですが、主に手足の長さ・身長差というのが大きく違ってくるので、どの部分を重点に合わせるかを決めていきます。基本的に上半身の動きがメインになるので、胴や腕の長さをアクターさんとキャラクターモデルが近い形になるように調整して、足の長さなどが曲がってしまわないように、微調整を繰り返して落とし込んでいきました。

――『BanG Dream! 2nd Season』は、モーションキャプチャという手法を使う中でも、楽器を使って演奏をするシーンが特に重要視されていたわけですが、そのうえでの特殊な部分とは。

新家:元アニメーターからの視点になるんですが、24fps・セルルックでコマ落としのアニメで日常演技をやる場合、キャプチャで撮ってしまうと“生っぽすぎる”というか、コマが多すぎてしまう場合もあります。演奏シーンの場合は、よりCGで手を加える箇所が多すぎて管理が複雑になってしまうので、アクターさんの動きが元からあったうえで、細かい味付けをアニメーターがしていく方が作業としては効率的であり、自然に見えるポイントなのかなと思います。

――良い意味での生っぽさを残しながら、不自然な部分を補っていくと。

新家:キャプチャ工程の段階では生っぽさは残しておいて、アニメーターやディレクターサイドで「生っぽすぎるから落とそう」「この動きはいいから残そう」と判断していただくことで、そのアニメらしさにつながると思っています。なので、あくまでモーションキャプチャ側としては、判断していただける材料をしっかりと用意するつもりでやっています。

柿本広大(以下、柿本):基本的に『BanG Dream! 2nd Season』って、日常パートのカット割りひとつとっても、アニメというよりは実写に近いテイストなんですよ。ギャグ顔とかがたまに出てくるだけで、やっていることは実際の動きや生活とかそのものに根差した演技・演出を目指しています。ライブパートに関しては、演奏している動きって24コマ8枚のレートでは早すぎて全然追いきれないところがあるものの、コンテンツとしては実際のライブとリンクしているのも大きな売りなので、そこの迫力をできるだけ余すところなく伝えたいんです。なので、フレーム数も実はライブパートだけに限らず、24コマ8枚のレートではなく12枚にしているところがあったり、2コマ打ち・1コマ打ちを多用していますし、そのなかで演技もアニメーションを知っている方たちに担当いただいているので、決めポーズやセリフはわかりやすく、アニメ感もしっかり出していただいているんです。

(左から)すぎやまみき、牛谷琴音、Asucah、木須実怜花

――すぎやまさん、牛谷さん、Asucahさんは、アニメ『BanG Dream!』のモーションキャプチャは経験済みのようですが、木須実さんは初めてなんですよね。どんなことを意識して臨みましたか。

木須実怜花(以下、木須実):モーション経験はあるのですが、『BanG Dream!』は、リアルなバンド演奏を再現するのが大事なのだと考えつつ、キャラクターの“らしさ”やアニメの雰囲気を思い浮かべながら演技をさせていただきました。

――先ほど柿本監督がお話ししていた“アニメ感”を出すうえで、それぞれが大事にしたポイントを教えてください。

すぎやまみき(以下、すぎやま):「決めるところは流さず、ピッと止める」ことを意識したので、スタッフさんにも「その動きはモーション向きで良いと思います!」と言っていただけました。キャラクターになりきりつつ、自分の持つDJ・ダンサーとしてのスキルを活かしながらキャラクターの個性を引き出すことを日々研究しています。

牛谷琴音(以下、牛谷):『BanG Dream! 2nd Season』を見たときに、六花ちゃんのギターがとても激しくて。普段の演技とのギャップも感じたので、そのメリハリを感じていただけるよう、大きめの動きを意識しました。

Asucah:普段はステージで演奏していることが多いのですが、その時は周りの出音を聴いて、鍵盤を自分の主観で弾いているんです。でも、モーションキャプチャの時はどちらかというと俯瞰で自分を見ている感覚ですね。

木須実:今回作品を見て色々と研究をさせていただきました。元々歌を歌っていた経験があるので、ステージ上でのパフォーマンスの経験を活かしてライブ感を出せたらいいなと。今回演じたレイヤはクールでカッコいいイメージがあり、私にはない魅力があったので、よりキャラクターに近づけるようカッコよく熱い心を持って歌っていることを反映しなくてはと、鏡を見て仁王立ちしながら研究させていただきました(笑)。初めてづくしでドキドキしながら一発目の収録を終えた時、本当にバンドで演奏しているような気持ちになれたのが印象に残っています。

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