中国政府がファーウェイ援護に本腰 Microsoft、Dell、Samsungを呼び出し警告

 米国政府は、企業秘密等を盗み、中国共産党政権に機密情報を流出させており、サイバーセキュリティへの脅威になっているとして、中国の大手通信機器メーカー「ファーウェイ(華為)」に制裁を科しているが、それに対抗するように中国政府が本格的な行動を起こしていることが分かった。

中国政府「米国に協力すると恐怖の結末」

 中国政府は、米国のMicrosoft、Dell、英国のArm、韓国のSamsung、SK Hynixといった大手テクノロジー企業を召喚し、トランプ政権が進める米国テクノロジーの中国企業への販売禁止処置に協力した場合、恐ろしい結果を招くと警告を発した。特段ファーウェイについての言及はなかったが、介入は同社を支援する動きだと思われる。中国政府はまた、米国政府の動きを阻止すべく、企業にロビー活動をするように働きかけていることを、6月8日付のニューヨークタイムズが報じた(参考:China Summons Tech Giants to Warn Against Cooperating With Trump Ban)。

 これは、中国政府が「信頼できない企業と個人リスト」を作成していることを明らかにした直後のことだ。そのリストは、トランプ政権のファーウェイ排除への対抗策とみられている。

 上記記事によると、これは中国共産党の最高指導者、習近平の政策にも大きな影響を与えているとされ、コンサルタント会社Eurasia Groupのポール・トリオロ氏は「米国政府が中国のテクノロジーの成長を鈍らせることを意図しており、中国のデジタル経済全体の将来が危ぶまれる、という見方が中国政府内では優勢。解決には高官同士の交渉や、ファーウェイが米政府と屈辱的な合意を締結する道もあるが、中国政府もファーウェイも、それは考えていないでしょう」と語る。

 日本はもちろん世界各地から中国経済へつながるサプライチェーンの分断についても警鐘が鳴らされており、長期的なリスク回避のために、生産拠点を中国以外の国に移転する動きも予想される。

制裁関税発動ならトランプ不況

 CNBCは、アメリカ消費者テクノロジー協会(CTA)のCEOギャリー・シャピロ氏の談話を紹介している(参考:More China tariffs could push the US into a ‘Trump recession,’ consumer tech group CEO says)。

「ファーウェイ問題は、統制が効かないところまでエスカレートする可能性があります。ファーウェイをブラックリストに載せることは、中国を世界から隔離するだけではなく、アメリカの周囲にも経済の壁をつくり、テクノロジー市場でアメリカが世界のリーダーの地位を維持する妨げになります。関税は経済の壁となり、米企業や消費者に損害を与え、中国との貿易摩擦を解決するために得策とは言えません。もし米国政府が3000億米ドル相当の中国製品に関税をかけるという脅しを強行すれば“トランプ不況”に陥るでしょう。中国には14億人おり、中国にとってよい戦略を持っていますが、実際には狭量な戦略で、アメリカにはしてほしくありません」

 トランプ米大統領は、日本で開催されるG20に習近平が出席しなければ、さらに強硬な姿勢で臨むことを明白にしており、各国にも米国に同調するように迫っている。

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