『ポケモン』新作は睡眠をエンタメ化し、生活の全てに干渉する? 『ポケモンSleeP』の可能性を探る

『ポケモンGO』の勝ちパターン継承

 現実世界を冒険することをテーマにした『ポケモンGO』により、ポケモントレーナーとなった人々が、それまでより多くの時間を歩くことに費やすようになった。

 今回の会見で石原氏は「歩くという基本的な動作がエンターテイメントとして成立するという変化を、世界にもたらすことが出来たと考えています。そして、歩くことの次に我々が注目したのが、睡眠。皆さんが人生で多くの時間を費やす睡眠のエンターテイメント化がポケモンの次のチャレンジです」と語っている。

 米国メディアTechradarは、発表会でも言及されたカビゴンが何か関わっているのではないかと推測し、任天堂がWiiといった生活の質に繋がる商品開発の実績がある事にも触れている。また、注目すべき視点として「いつか生活の全てがエンターテイメントに取り込まれるのではないか」とも論じている。

 石原氏はポケモンという存在を通して、現実世界と仮想世界の両方を豊かにすることをビジョンとしている。これこそが、ポケモンGOで見つけた勝ちパターンといえるだろう。

 テレビ全盛期の時代、「8時だョ!全員集合」という国民的なTV番組があったが、そのエンディングでよくドリフターズのメンバーが発した言葉に「歯磨けよ!」「風呂は入れよ!」といったものがあった。番組の社会的影響力を考慮し、善意で教育的な呼びかけをしていたわけだが、時代は変わり今、子供たちが夢中になるのはポケモンになった。場合によっては、入浴や歯磨きをエンターテイメント化することも、あり得ない話ではないだろう。

■Nagata Tombo
ライターであると同時にIT、エンタメ、クリエーティヴ系業界にも出入りする。水面下に潜んでいたかと思うと、大空をふわふわと飛びまわり、千里眼で世の中を俯瞰する。

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