ソニーとマイクロソフトのタッグは“コンソールビジネスの終わり”を示唆するか?

 ソニー株式会社(以下、ソニー)とマイクロソフト コーポレーション(以下、マイクロソフト)が、それぞれのゲームやコンテンツのストリーミングサービスでの用途を目的とした、将来のクラウドソリューションをMicrosoft Azureを活用して共同開発すること、ソニーのゲームやコンテンツのストリーミングサービスに、現在のAzureのデータセンターベースのソリューションの利用も検討していることを発表。新たな顧客体験を開発するためのパートナーシップに関する意向確認書を締結した。

 今回の協業により、両社はそれぞれの世界中のユーザーにこれまで以上に充実したエンタテインメント体験を提供するとともに、コンテンツ制作者コミュニティに向けて、より良い開発プラットフォームを提供していくことを目指す。このタイミングでライバル同士が手を取り合った背景と、2社のタッグがゲーム業界・社会に与える影響とは? まずは2社が手を組んだメリット・デメリットについて、eスポーツ業界アナリストで、ゲームシーンの動向に詳しい但木一真氏に話を聞いた。

「今後、非ゲーム業界からのクラウドゲームへの参入が相次ぐことが予想されるため、プラットフォームのシェアを確実に握るべく、技術力・コンテンツ力がある2社が手を組んだと思います。Google社が発表しているStadiaが最大のライバルであることは間違いないでしょう。クラウドゲームを運営するにあたり、一番重要なのはゲームタイトルを囲い込むこと。ゲーム企業である二社が手を組んだことで、囲い込みの交渉力が格段に向上することが一番のメリットです。デメリットとしては、コンソール機でビジネスを行う2社がクラウドサービスへの転換をにおわせたことで、消費者が次世代コンソール機を買う動機が薄れる懸念があるということです」

 Xbox、PlayStationと、それぞれゲームハードを提供している2社にとっては、ある程度のリスクを覚悟したうえでの提携ということだろう。その上で、Google(Stadia)とAppleと今回のSONY&MS連合を比較し、それぞれの強みについても聞いた。

「上述の通り、目的はゲームタイトルの囲い込みです。技術力のあるパブリッシャーを囲い込んでオリジナルコンテンツをつくる、という、動画配信サービスでもみられる戦略をとるための布陣だと考えられます。一方、GoogleとApple、Amazonといった企業に対抗できるのは、他サービスとのバンドルです。Amazon Primeのように自社で展開するサービスを複数バンドルしてサブスクリプションの付加価値を上げるという戦略をとれる企業は、積極的にそこに注力していくと考えられます」

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