『劇場版 FFXIV 光のお父さん』制作現場に潜入! 山本監督「『CGで撮ったんでしょ?』と言われれば勝ちですね(笑)」
人気RPGの「ファイナルファンタジー」シリーズを“テレビドラマ”という衝撃の形で初めて実写化した『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』からはや2年。今度はその『光のお父さん』が映画化するというまたしても驚きのニュースが飛び込んできた。
『FFXIV』プレイヤーのマイディー氏が、自身の運営するWebサイト「一撃確殺SS日記」で執筆していた「60歳を超える父親に『FFXIV』をプレイしてもらい、自分は正体を隠し、フレンドとして共に冒険を続け、最終的に息子である事を打ち明ける」という連載『光のお父さん』を元にしたこのドラマ。果たしてその内容は、結末までしっかりと描いたテレビドラマの“アナザーストーリー”的なものになるのか、と疑問を抱いていたところ、制作現場への潜入取材を行えることになった。本稿では、そこで見聞きしたことを整理しながら、映画『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』の裏側に迫りたい。
スタジオに入り、取材陣が待機していると、そこに登場したのはドラマ『光のお父さん』の名物プロデューサーである“ぴぃさん”こと渋谷恒一氏だ。現場を見てもらう前にと、今回の作品について話し始めた。まず、結果から言えば映画『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』は、新キャスト、新脚本で描かれるドラマ版とは違う家族で紡がれる物語になるらしい。
さらに、前回はオンライン上に展開されているエオルゼアの世界で、他プレイヤーも活動するなかで撮影していたことが記憶に新しいが、今回はスクウェア・エニックス社より撮影用に開発サーバーと同等の環境が提供された。
そこから、ゲーミングPCが所狭しと並んでいるスタジオで撮影の模様を、別室にて山本監督とマイディー氏に話を聞く時間が設けられた。彼らの発言やスタジオの様子などについても記そうと思う。
山本氏いわく「2017年1月にゲームのバージョンが上がって、グループポーズに大幅なアップデートが入ったりと撮影環境がよりよくなったのが悔しかったので、そういう機会(映画化)があればとは思っていました」と、ドラマ放送後のバージョンでやれることが増えたり、開発サーバーを使えるようになったことで、細やかな演出にこだわれるようになり、その結果大変ではあるが納得のいくものが作れていると明かしてくれた。
スタジオのゲーミングPCには、山本氏、マイディー氏のほか、多くのプレイヤーが山本氏の指示を聞きつつ、画面に向き合いながらキャラクターを操作していた。渋谷氏によると、ここにはじょびネッツア(マイディー氏がマスターを務める「FC」)のメンバーなども参加することがあるという。マイディー氏もすっかりキャラクターを使った演技はお手のものになっており「キャラクターを動かすいちアクターとしては、ドラマの時の課題が残っていたので、もうちょっとやりたいという気持ちがあった」と銀幕デビューにますます燃えているようだった。
また、ドラマ撮影時に初めて『FFXIV』をプレイした山本氏も、いまや同ゲームの世界を知り尽くしたプレイヤーの一人となった。その結果、どこにいけば何があり、どういうシチュエーションで撮影できるかと工夫できたことも大きなポイントになっているという。演出面について、同じ部屋で指示をしながらプレイ〜撮影まで臨めることの利点を聞いてみると、マイディー氏は「インディ(父親が操作するキャラクター)とマイディーが演技している後ろで違う動きが入ってくるようにしたりと、細かく演出を入れてもらえるので、だいぶ画変わりしたと思います。部屋の中の大きなモニターに、監督が撮影した映像が映るようになっているので、やったあとにみんなでプレイバックできるのもよかったです。前は何が良くて何がダメでというのも、出来上がるまではわからないままだったので」と語り、山本氏は「演出が近い距離でできるようになった分、細かいお願いは増えました(笑)」と、細部へのこだわりを明かした。