Google『Stadia』は成功するのか? 開かれたゲーム産業の“パンドラの箱”
このように『Stadia』を成功させるには、今は可視化されていない新しいユーザー層、つまり「ハイスペックなゲームをプレイしたいけれど、ゲーミングPCを購入できていない」という層を掘り出さなければならない。ゲームストリーミングによって、プレイ環境が端末に依存しないという状況が実現した時に、ハイスペックなゲームは本当に求められるのだろうか。
ゲームストリーミングはゲーム産業の新しい形を示そうとしている。スマートフォンが新しいデザインを要求したように、ゲームストリーミングにおいても、新しいデザインが要求されるだろう。その進化のスピードはiPhoneが誕生した2007年の比ではない。Googleの他に同サービスに名乗りをあげている企業が山ほどある。
Googleは『Stadia』を発表したことで、ゲーム産業のあらゆる条件をリセットするパンドラの箱を開いた。2019年はその混沌のなかで、新しいサービスが次々と生まれ、急速に進化をしていくだろう。
■但木一真(ただき・かずま)
1985年生まれ。大阪府出身。ゲーム業界/eスポーツ業界のアナリスト。日本最大級のコミュニティ『Esportsの会』の共同主宰者。データや知見を活用して、業界を分析しています。総務省から発表されている『eスポーツ産業における調査研究報告書』をはじめ、eスポーツをビジネス視点から分析したレポートを複数発表しています。またWEB動画やイベントのプロデュースも行っています。