『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』に見た、“ブッ殺す以上にブッ殺されまくる”フロムの真髄

 恐ろしいことに、フロム・ソフトウェアさんの新作『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』(2019年)の試遊会にお邪魔しました。フロムと言えば、ゲーム好きにはお馴染みの老舗開発会社であり、近年は「DARK SOULS」シリーズ(2011~2016年)が、プレイヤーが何度も死にながら試行錯誤を繰り返して遊ぶ、いわゆる「死にゲー」の代名詞として知られています。そんなフロムの新作試遊会に私のような人間が、今でも昇竜拳が出せずに苦しんでいる私が、いくら仕事だとしても訪れて大丈夫なのだろうか? 会場でもオロオロするばかり。しかし結論から言いますと、物凄く良い感じに仕上がっていました。

 本作は西洋ファンタジーだった「DARK SOULS」から一転、戦国時代らしき架空の日本を舞台に、忍者となって死闘に身を投じるアクションRPGなわけですが……これがまた凄い。タイトル画面からニューゲームで20分ほど遊んだのですが、まず驚いたのは、いい意味で荒み切ったOP。コンセプトアート通りの美しいビジュアルの中、血みどろで戦場を這いずり回る足軽、殺し合う武将たち、そして主人公の出自が描かれるイベントシーンが終わると、画面は地下深くで眠る主人公に切り替わってゲームスタート。このビジュアルで一気に引き込まれました。

 プレイアブルになって最初に驚いたのは、操作性の良さです。主人公が忍者なので、テンポよく地下からジャンプで抜け出せて、あまりの軽快さに「これは俺でもイケるんじゃない?」と思ったわけですが、そうは上手くいきません。調子に乗ってピョンピョンしていたら、崖から転落死。気を取り直して慎重に崖を渡ると、今度は進む先にNPCが。まずは挨拶かなと声をかけてみると、速攻で惨殺されて2回目の死。話が通じる相手ではないと分かり、3回目の挑戦。手持ちの武器がないので、NPCの間を走り抜けようと頑張ってみますが、これまた即死。容赦のなさに驚きつつ、このままでは移動チュートリアルすらクリアできないぞ、ゲームの目玉の戦闘を経験しないまま試遊時間が終わると焦っていると――。

「よければ、お手伝いしましょうか?」

 私の下手さ加減を見かねて、やさしいフロムのお兄さんが手を差し伸べてくれました。お兄さんの助言を聞きながら、NPCから隠れるように草むらを進むことに。まず突っ込もうとする己の浅はかさを恥じつつ、助言通りにNPCを避けると次なる道が見えてきました。「その調子!」と褒めてくれるフロムのお兄さん。「なるほど! こういうことですね!」と調子よく返す私。その直後、お兄さんが――。

「あっ」

 驚きの声を上げました。刀を持った侍がいきなり突っ込んできて、主人公が斬殺されたのです。画面に映る「死」の一文字。もう脱帽です。散々プレイしているはずの自社のスタッフすら、油断すれば情け容赦なく斬り捨てる難易度。フロムの神髄を見た気がしました。

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