NHK“ネット同時放送解禁”が民放・配信サービスに与える影響は? 海外の事例などから紐解く
最後に、スポーツ中継などのリアルタイム性が求められるコンテンツがネットで配信できるのは、放送局のビジネスとしてプラスの側面もあるのではないか、という問いに、ジェイ氏はこう答えた。
「オリンピックを含め、大きなスポーツの中継がネットで観られます、ということをNHKが謳えば、放送料を支払うユーザーも増加するかもしれません。ただ、NHKは公共放送であるため、そのぶんガバナンス、政府・第三者機関が責任を負って内部監査をするのかどうか、という点には気をつけないといけません。DAZNのように放送権を買う形なのか、広告を入れてスポンサードするのかなど、ネット配信用の新しいビジネスモデルを作る必要も場合によってはあるでしょう」
放送法の規定により、NHKは各年度のコンテンツ提供・実施にあたっての費用を、受信料収入の2.5%までで賄わなければならないため、ジェイ氏が述べてくれたような放送料・受信料を払うユーザーの増加や管理が一層求められる。この状況を民放各社がアドバンテージと捉えて一気呵成にネット対応を進めるのだろうか。そういった点にも注目しつつ、今年のテレビ業界とインターネットの合流を見守りたい。
(取材・構成=中村拓海)