田中道子が語る、オンラインゲームと女優業の意外な共通点「その“普通の感覚”が活きてくる」

田中道子が語る“ゲームと女優の共通点”

 ゲーム好きの著名人・文化人にインタビューし、ゲーム遍歴や現在の活動とゲームの関連性などを聞く連載“あの人のゲームヒストリー”。今回はミス・ワールド2013の日本代表でもあり、『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』、現在放送中の『後妻業』など、話題のドラマでも活躍する女優・田中道子が登場。家族ぐるみでゲームに触れ合った幼少期から、ゲームの影響で将来の道を選びかけた思春期、オンラインゲームにますますハマった現在まで、じっくりと話を聞いた。(編集部)

「初めての彼氏もオンラインゲームを通して知り合った人」

ーー田中さんが、そもそもゲームに最初にハマったきっかけは?

田中:母方の叔父さんが結構なゲーマーで、家の中に入ると、天井までゲームがバーっと積み上がっていましたし、『週刊ファミ通』も何十冊と置いてあって。兄が先に影響を受けだしたんですけど、家が近かったのでしょっちゅう2人で遊びに行って、ファミ通を読んでいました。叔父さんは昔気質のオタクで、ぶっきらぼうに「出てけよ」なんて言うんですけど、そのうち私もゲームにどんどんハマっていって。家族自体も周りからは特殊だって言われるんですけど、親戚が集まったら、全員で『マリオカート』で対決したり。ゲームで年越しもするんですよ。

ーーなんですかその最高の家庭は。

田中:鮮明に覚えてるのは、2000年の年越しですね。私がまだ小学生のときに、家族全員で“年跨ぎ『ぷよぷよ』”をやっていて、私がお兄ちゃんと対戦してる時に、家族は他で「20世紀おめでとう!」ってお祝いしていて。そこに間に合わなくて大泣きしたのを覚えています(笑)。父も結構なゲーマーで、60歳にもSwitchの『マリオカート』をやるんです。それを見て家族みんなで笑いあったりして。

ーーゲームがコミュニケーションツールとして機能しているのは素晴らしいですね。そういう環境があると、自然とゲームにハマって行くと思うんですが、自分の意思でゲームをやろうと思ったのはどれくらいの時期ですか?

田中:小学校高学年のときですね。『MOTHER2』を叔父さんにお願いして貸してもらいました。でも、あまりその時は良さがわからなくて。今は糸井重里さんも大好きですし、岩田聡(元任天堂代表取締役社長。プログラムディレクター/チーフプロデューサーとして参加)さんの素晴らしさも理解できているんですけど。自分で初めて買ったのは中学生の時の『ファイナルファンタジーVIII』ですね。それまでは兄に「これレベル上げしておいて」って、『ドラゴンクエスト』のレベル上げをひたすらやったりしていただけなので。

ーー作業をやらされていたんですね(笑)。

田中:でも、それすらも楽しかったんですよ。『ぷよぷよ』でメッタメタにやられてばっかりでしたから。兄と一緒に『聖剣伝説』をやった時の楽しさは段違いでしたね。それ以降、RPGにハマっていったような気がします。

ーー『ファイナルファンタジー』シリーズがお好きだと伺ったんですが、『ドラクエ』や『クロノ・トリガー』などもプレイされていますね。

田中:『クロノ・クロス』も難しかったですけどクリアしました。でも、プレイした頃は作品が何を伝えたいのかをわかってなかったんです。そういうゲームを大人になってからクリアするのが大好きで。1本の映画みたいなストーリーを味わうと2度美味しいというか。『ファイナルファンタジーIX』は、一昨年ぐらいに改めてクリアして大泣きしたんですよ。『クロノ・トリガー』で特定の条件を満たした時に見れるエンディングで聞ける声もグッときましたね。そんな経験があったから、ずっとゲーム会社に就職したかったんですが、書類審査を送っても全然通らなくて。最終的にはゲーム内にある建物に影響されて、建築の道に進んだんですけど。

ーーそういった意味では、ゲームに大きく人生を左右されたと。

田中:間違いないですね。

ーー中学生でRPGにハマって以降は、どういうゲーム遍歴を?

田中:中学の終わりくらいからネットゲームにハマったんです。当時はゲームコミュニティサイト『ハンゲーム』内のRPGを結構やっていて。高校生に上がってからもオンラインゲームにのめり込んで、初めてできた彼氏もオンラインゲームを通して知り合った人でした。学校生活も、本当はダメなんですけど寝ないで朝までゲームをして、そのまま通学していたので、親からネット禁止令が出ちゃいました。まあ、隠れてやってましたけど(笑)。

ーーかなりのネトゲ依存症だったんですね。とはいえ、最終的には職業にしたいと思えるまでゲームを好きでい続けるって、それ自体が才能だと思うんですよ。どこかでゲーム以外の趣味を見つけたり、職業にはせずに別の道に行ったりする人が多い中で、ゲームを自分の軸に据えながら人生を歩んで行けたのは、周りの人の影響があったからなのでは?

田中:そうですね。ずっとゲーム仲間がいたことは大きいかもしれません。高校生の時にゲームで知り合って、今でも仲の良い女の子もいますから。彼女は福岡のキャバクラに勤めていて、私のことをOLだと思ってるので。そうやってお互いの素性もハッキリとはわからないけど、ずっと友達で居続けるのってすごいことだなと思うんです。

ーーとはいえ、ミスコンの時期はゲームを絶っていましたよね。

田中:そうなんです。上京してモデルのお仕事を始めたころは、「そういう時間があるんだったら、もっとレッスンに打ち込むべき」と考えて、ゲームを絶っていました。でも、女優のお仕事を始めてからは、事務所の方からも「どんどんやっていこう」と言ってもらえて。

ーー人生の中で唯一ゲームから遠ざかった期間だったんですね。

田中:でも、ずっとニコニコ動画でゲーム実況は見てました。テレビ感覚でつい流しちゃうんですよね。当時はうきょちさんの動画をずっと見ていました。

ーーなるほど。女優さんのお仕事を始められて「ゲーム解禁」となってからは、今まで抑え込んできた反動で一層ハマってしまう、みたいなことはあったんですか。

田中:高校生以来の徹夜プレイをするようになりました(笑)。女優の仕事って、オフの日は何もかも忘れてフリーになりたくなるんです。なので、そういう日は何十時間もプレイしちゃうんですよね。2017年のお正月休みには、3日間で45時間、『ファイナルファンタジーXV』をプレイしてました。細かいところまで作りこまれてて、色んなところにドライブで行けるのがすごく楽しくて。より現実に近づいてきた感じがして、最近は「何十年後、何百年後のゲームはどうなるんだ!?」と気になっています。

ーーちなみに、最近コンシューマゲームでハマったタイトルは?

田中:『スプラトゥーン』ですね。やり込んだというより、ひたすら対戦していただけなんですが。最近は陣取りゲームに近い要素の『モバイル・レジェンド』にハマっていて、気づいたらアジア6位になっていました。基本的に誰かと協力したゲームが好きなのかもしれません。

ーーオンラインゲームもそれに近いものですし。

田中:そうなんですよ。オンラインゲームで友達とパーティを組んで「よし、行くか!」みたいな瞬間が本当に好きで。顔も知らない人と絆ができて、ピンチの時は助けあえるって、すごいことじゃないですか。だからこそ、そこで自分を出すことができましたし、オンラインの中でしか自分を出せてないんじゃないかと思うくらいでしたから。

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