中国発、次に来るサービスは? デリバリー&ピックアップ専門「Luckin Coffee」の魅力

 「キャッシュレス」、「デリバリー」、「コーヒー」……これらは今、中国で若者がよく利用している人気のアイテムだ。本稿では、その全てを融合して大ヒットしている「Luckin Coffee(ラッキンコーヒー)」について、現地より紹介する。

一見コーヒーショップと分からないようなオシャレな外観
シンプルかつスタイリッシュな雰囲気だ

 中国の「キャッシュレス社会化」が話題になっているが、特に上海、広州、深圳といった沿海都市では、モバイル決済が主流で、ほぼ現金に触れないで生活ができる。飲食店や百貨店をはじめ、支払いはモバイル決済(アリペイやウィーチャットペイ)で、もう財布を持ち歩かなくてもよくなった。実際、昼休みのオフィス街で見られるのは、スマホを片手に歩く姿がほとんどだ。逆に財布をもっていたり、レジで精算するときに「現金で」と言うのは、肩身の狭い思いすら抱く。

 そして急速に普及しているキャッシュレス化が支えているのは、店舗での精算だけではない。フードデリバリーやスーパーのデリバリーなど、デリバリーサービスも大きく変化してきた。現金を扱わなくてよいという管理の手軽さもあるが、どこでも、何でも、すぐに、しかもほぼ無料に近い料金で手軽にデリバリーしてもらえるという生活習慣が若者を中心に定着して、新しいマーケットを生み出し、スマホ同様に今や、中国の生活に欠かせないサービスとなっている。24時間体制のデリバリーサービスを体験すると、リアル店舗に行くことの必要性をほとんど感じなくなる。

 キャッシュレス化やデリバリーサービスといった新しいシステムを上手く活用し、さらに、ここ最近、前述の沿海都市で巻き起こっているコーヒーブームをのせたのが、新星のごとく現れた「ブルーの鹿」マークの「Luckin Coffee」だ。中国語では「瑞幸珈琲(ルイシン•カーフェイ)」と言い、ペーパーカップが青いことから、「小藍杯(シャオランベイ)」とも呼ばれている。

今はこのカップを持つのがカッコいい!

 この「Luckin Coffee」は、デリバリー&ピックアップ専門のコーヒーショップで、若者から絶大な人気を誇り、短期間でその知名度とブランドを一気に上げた。

 これまで、中国のコーヒーブームを牽引してきたのは間違いなくスターバックスで、外資系社員をはじめ、若者の間では、スターバックスのペーパーカップを持って出勤することがある種のステイタスになっていた。ここ最近のコーヒーブームで、個人経営のカフェ、ブックカフェなどおしゃれなカフェも増えてきたが、その中でもスターバックスの地位は揺るぎないものだった。

 ところが、ある時期から、街中で見かける若者が手にしているカップが、スターバックスから青いカップ「Luckin Coffee」に変わり、その注目も「人魚」から「ブルーの鹿」に移っている。若者のステイタスに変化があらわれてきたのだ。なぜ「Luckin Coffee」は、若者の圧倒的支持を集めているのか?

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