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高性能のVRグローブ「HaptX Gloves」登場でVR体験が進化? 水滴や蜘蛛の脚の動きも再現可能に

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 9月末、Oculus社がOculus Goを凌駕する性能をほこるスタンドアロン型VRヘッドセット「Oculus Quest」を発表したことで、VR市場は普及と進化の歩みをまた一歩進めた。そして、このほど発表されたVR触覚グローブが触覚のバーチャル体験を進化させることで、VR市場をさらに前進させるかもしれない。

VRトレーニングでの活用を想定

 アメリカ・シアトルに拠点をおくスタートアップHaptXは、3日、VR触覚グローブとその開発環境を合わせた「HaptX Gloves Development Kit」を発表した。同グローブには物理的に手を刺激する機構である触覚アクチュエータが130個実装されており、1ミリメートルの精度でバーチャルな触覚を再現するとされている。このアクチュエータには、同社の特許技術であるマイクロ流体技術が応用されている(下の動画参照)。

HaptX Gloves Development Kit – Launch Trailer

 同グローブの開発環境は、既存のVRコンテンツの開発に活用されている主要なゲームエンジンであるUnityとUnreal Engine 4に対応している。それゆえ、既存のVRコンテンツを同グローブで使えるようにアップグレードすることは、比較的容易だ。

 同社CEOのJake Rubin氏は、自動車産業や宇宙産業において同グローブを活用すれば、開発中の車両や宇宙船を組み立てる前にそれらに触れることができ、そのほかの業界の企業と政府機関も同グローブをVRトレーニングシステムとして活用できるだろう、と述べている。

 なお、同グローグに興味のある企業は、公式サイトからコンタクトをとることができる。コンタクトのフォームは企業担当者が記入することを想定しており、個人が同グローブを入手することは現時点ではできないようだ。

海外メディアの反応

 US版TechCrunchは、4日、HaptX Glovesに関する記事を掲載し、同グローブに実装されたアクチュエータの仕組みについて詳しく解説している。同グローブのアクチュエータは、微細な空気の気泡の形状を変化させて触覚を再現している。気泡を制御しているのは、同グローブに接続されたスーツケースほどの大きさの圧搾空気を送り出すコンプレッサーだ。このコンプレッサーは、同グローブの製品版をリリースする頃には現在より小型のモノになるだろう、とHaptX社の関係者は述べている。

 スタートアップ関連ニュースを報じるメディア『VentureBeat』は、3日、同グローブの体験レポートを掲載した。デモ体験にはHTC Viveが使われたのだが、VRヘッドセットを装着すると納屋と農場がある景色が広がり、小麦に触れたり、水滴が手に落ちるのを感じられる。さらに、蜘蛛が手の上を這う時には、蜘蛛の脚先まで感じることができて気持ち悪くなった、とのこと。

 VR専門メディア『Road to VR』も、3日、同グローブの体験レポートを掲載した。そのレポートは同グローブを構成する装置が大きすぎることを指摘しており、現時点では一般消費者向けのデバイスとしては全く理想的ではない、と評している。

VR触覚デバイスの現状

 現在の触覚のバーチャル体験は、視覚や聴覚のそれが充分に実用に耐えうる水準にあるのに対して、まだ研究開発の段階にある。VR市場においても、VR触覚デバイスのプラットフォームやエコシステムといったものは存在せず、個々の企業が開発を進めているのが現状だ。

 VR触覚デバイスの開発を進めている企業は日本国内外に存在する。例えば、日本に拠点があるスタートアップのexiii(イクシー)株式会社は、手首に力を加えることで触覚を再現する「EXOS Wrist」のDK2版を提供している(下の動画参照)。VR触覚デバイスは、HaptX Glovesほどではないにしても、しばしば大掛かりな装置となってしまうことにより重いものとなる。EXOS Wristは、力を加える箇所を限定したことにより、大幅な軽量化に成功している。

EXOS DK2 Demonstration

 また、アメリカのスタートアップWoojer社は、8個の触覚アクチュエータを実装したジャケット型触覚デバイス「Ryg」に関するクラウドファンディングを9月末に実施したところ、3日間で目標額の3倍以上の16万ドル(約1,800万円)の資金を調達した(下の動画参照)。

ryg™ by Woojer – Raise Your Game!

 以上のようにVR触覚デバイスの研究開発は、多くの企業が挑戦しているのだ。こうした企業間の開発競争が順調に進めば、映画『レディ・プレイヤー1』で描かれたようなVR触覚デバイスやVR歩行システムが映画の舞台となっている2045年より前に実用化されるかも知れない。

トップ画像出典:YouTube「HaptX Gloves Development Kit – Launch Trailer」より画像を抜粋

吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。
Twitter:@kohkiyoshi

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