ゴールデンボンバー歌広場淳が明かす、eスポーツ大会に出場した理由「ゲームで“まじ”になれば人生が変わる」

「ゲームがなかったらどうなっていたか」というプレイヤーが好き

――ちなみに、歌広場さんが注目されているゲーマーはどなたですか?

歌広場:そうですね、この質問に対しては全員そうだと思うんですけど、まず頭によぎるのは梅原大吾さん(編注:日本初のプロゲーマーで、格闘ゲーム界のレジェンド)じゃないですか。いるんですよ、少なからず「ウメハラがやってるんだったら動画見ようかな」っていう人たちが。あとは昨年、ラスベガスで行われる世界的な格闘ゲーム大会=EVOLUTIONで優勝したときどさん(編注:東京大学卒のプロゲーマー)だったり。個人的に好きなのが、まちゃぼーさん(編注:『ギルティギア』シリーズの強豪プレイヤー。芸能事務所に所属)。とにかくめちゃくちゃ強いんですけど、言ってしまうと「ゲームがなかったら、どうなってるかわからない」タイプの人なんですよ。まあゲーマーは皆そうじゃないですか。

 海外でもドミニカ共和国のMenaRDさんという17歳のゲーマーがいるんですけど、ドミニカ共和国って平均年収が日本円にすると数十万円という国なんですよ。そんな中で「CAPCOM CUP」で優勝して二千万円獲得して、大統領に表彰されたりしていて。めちゃくちゃ夢がありますよね。あと、僕はイケメン好きなので、シンガポールのXianさん(編注:Razer所属のプロゲーマー)も応援してます(笑)。

 「プロゲーマー」という概念が世に出てきて、すごく良いなと思うんですけど、何が良いって、他のことはできなくても、ゲームだったら輝ける、という人に光が当たる時代になったということじゃないですか。ウチの鬼龍院翔もきっとそういうタイプの人間だと思うんですけど、音楽がなかったらどうなっていたかわからない。そういう人に少しでも光が当たるような世の中になってるのは良いことだと僕は思いますね。「たけしの挑戦状」をクリアしたときの有名なセリフがあるじゃないですか。

――「こんなげーむにまじになっちゃってどうすんの」ですね。

歌広場:すばらしい言葉じゃないですか。そして、その上でその言葉に対してひとつの答えが出るというか、「まじ」になったら人生が変わるという時代になった。ゲーマーの中でもそういった風潮に反発する人もいると思うんです。「俺たちはただゲームやりたいだけなんだ」と。それが面白いんですよね、時代の過渡期で。プロ野球とかもきっとそうだった時期があるでしょうし、この時代をリアルタイムで体感できるのは楽しいですね。

ゲームをやっていない人間が言っても、説得力がない

――現在歌広場さんはTwitterなどで「ストリートファイターV」にハマっていると公言されています。本作はゲームセンターに筐体があるのではなく、コンシューマー機によるネット対戦がメインになっています。「現場」がゲームセンターではなくネットに移行していますが、そこに寂しさなどはありますか?

歌広場:時代の流れみたいなものはどうしようもないと思うんです。おそらくCAPCOMさんだって「『ストリートファイターV』をゲーセンで出そうよ」って話は何回も出たと思うんですよ。僕らプレイヤーは作ってもらったものに対してどう遊ぶかっていう話ですし。メインはネットになりつつあるかもしれないし、ゲームセンター自体は減ってるかもしれないけど、ゲーマーたちがゲーセンでつまらなそうにしているかというとそうではない。

――ヴィジュアル系も全盛期に比べて下火とは言われていますが、ライブハウスにいる人たちがつまらなそうにしているかというと、違いますしね。

歌広場:バンドにしてもゲームにしても、要はコミュニケーションに魅力を感じているわけじゃないですか。そこを知らない人にもわかるように翻訳するのが好きなのかもしれない。映画の見方も、知らなくても面白いけど知ってみたら百倍面白いってこともあるじゃないですか。そういうものが世の中にたくさんあって、僕はそういうことを発信していきたい。先日のEVO JAPANでも小川さん(編注:「暴君」とも呼ばれる、『ギルティギア』シリーズのレジェンドプレイヤー)が負けちゃった時に、僕は「信じられない!」って言ったんです。そしたらあまりゲームに明るくないアナウンサーの方が「そんなにすごい方なんですか?」と。その時、僕は「『北斗の拳』のトキが病気になってないくらいすごい」と説明したら、その場にいた男性が全員爆笑して、その強さを理解してくれました(笑)。そんな風に興味を持たないような人たちに興味を持ってもらえるようにするのが好きなのかもしれないですね。

――今後の活動について考えていることはありますか?

歌広場:具体的にどうこうってことはないんですけど、まずはゲームに関われるなら色々なことに挑戦したいですね。ゲームやってない人間が言っても説得力がないし、まずはゲームをやり続けたい。EVO JAPANにはプレイヤーとしても参加しましたし、ゲーマー同士のコミュニケーションって技術の高さが重要になってくる時もあるじゃないですか。だからできるだけ腕は磨いていたし、最近「ストリートファイターV」のLP(編注:リーグポイント。ネットワーク対戦で勝利すると得られる)が16000になったんです。これは自分で言っちゃいますけど、下手クソには出せない数字なんですよ!(笑)

――今すごく熱こもってましたね!

歌広場:そしてやっぱりゴールデンボンバーでの活動が大前提ですね。ゴールデンボンバーで頑張らないと広がっていかないし。逆にゲーマーとして僕が活動していって、もしかしたらゴールデンボンバーのステージでゲームネタでいじられる日がくるかもしれないし。そうやって循環していけば。これを読んでる人に、最後に言いたいのは、今見てるパソコンやスマホでなんでも良いので、再生回数が多い格闘ゲーム動画を見てみてくださいってことなんですよ。色々語ってきましたが、結局は「好き」ってこと以外ないですね。

(取材・文=藤谷千明)

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