初心者でもVR空間が作成できる! 実験プロジェクト「NEWVIEW」&クリエイティブプラットフォーム「STYLY」レポート

 VRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」(http://styly.cc)を提供する株式会社Psychic VR Labが、株式会社パルコ・株式会社ロフトワークと共同で、VR空間での新たな表現と体験のデザインを開拓する実験プロジェクト「NEWVIEW」を始動した。

 このプロジェクトは業界問わず、様々なクリエイターを巻き込み、VR作品制作の知見を溜め、3次元空間での新たな表現・体験を模索しながら、次世代のクリエイターを発掘・育成することを目的としている。

 制作ハードルが高いと思われているVR作品も、Psychic VR Labが提供しているVRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」(http://styly.cc)を使えば誰でも簡単に作成することができる。

 実際に筆者も使用してみたのだが、アカウントを作ってしまえばプラットフォーム内でもともと提供されているオブジェクトも豊富で、映像や背景画像も持っている画像をアップロードしてしまえばそのまま使うことができる。権利関係がクリアになっているものに関しては、YouTubeの映像や音楽もVR空間で流すことが可能で、「自分好みの空間を作り、そのなかで好きな音楽を楽しむ」ということも簡単にできてしまう。

 チュートリアルも充実していて、昨今、中高生がiPhoneを使って動画編集をしているように、初心者でも簡単にVR空間をクリエイトできる仕組みになっているのだ。

「STYLY」編集画面

 

 今回はプロジェクトの第一弾として、参加が決定している10名以上のクリエイターによる、3次元空間の作品体験させてもらった。

「Qiezi Mabo Forever - VR ver.」

 ラッパーGiorgio Givvnがプロデュースを手がける謎のユニット「Qiezi Mabo」が11月にQiezi Mabo loves PUNPEE名義で公開したMV『Qiezi Mabo Forever』。その制作を担当した若手映像作家・でんすけ28号が作成したのが、バスルームを模した空間を自由に探索でき、その中で音楽を楽しむという作品だ。

 VRヘッドマウントディスプレイ(VRHMD)が高低差も感知してくれるので実際に現実空間でしゃがむとVR空間内でリンクし、バスルームの入り口で踊る覆面集団を見上げたり、洗面台の下を覗くと小さく踊る覆面のキャラクターを発見することができるなど、楽しめる仕掛けが満載。バスタブの横に設置されたモニターではMVが流れ、この不思議な空間で新しい音楽体験を味わうことができる。

「まんじゅうこわい/Scary buns」

 こちらは、古典落語の「まんじゅうこわい」をVR空間で再現するとどうなるか、ということをテーマをグラフィックアーティスト・伊波英里が探り制作した作品。一本道が敷かれ、その上を進んでいくことで、物語が視覚化され、「理解が難しい」というイメージもある落語を感覚的に楽しむことができる。ビジュアルもポップで、落語に親しみがない世代でも入りやすい作品になっている。

「paralledice」

 VR作品の大きな魅力のひとつは、平面では表現が難しい空間において広さや狭さ、高低差を表現することができる点だ。

 そこに着目した映像作家・大月壮の「paralledice」は、とにかく頂上を目指しVRコントローラーを使って登っていく、というゲーム的要素のある作品だ。実際にプレイしてみると意外に難しく、登れる場所のあたり判定がシビアだったり、ルートがいくつもに分岐していたりと、クリエイターのこだわりが詰まった作品となっている。世界感もユニークで、この世界に入り込んで、周囲を眺めるだけでも楽しめる作品だ。

2次元表現から3次元の表現へ

 これらの作品はヘッドマウントディスプレイさえあれば、サイトから誰でも簡単に体験することができる。尖ったクリエイターたちの作品に触れ、「自分ならこんな世界が作りたい」というアイデアが沸けば、「STYLY」を使って実際に創作してみるといい。VR制作の敷居を下げ、より多くの才能やアイデアを呼び込むことで、コンテンツの拡充を促進する、画期的なプロジェクトになりそうだ。

 今春には、世界中のクリエイターから「STYLY」を使って表現したVR空間を募集し、優秀作品を表彰するアワードを開催予定。頭のなかにアイデアがあり、それを表現したい人は、さっそく「STYLY」にアクセスしてみてほしい。

(編集部)

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