『アイマス』から『グロテスク』へ、錦織敦史の現在地 福島祐一×鳥羽洋典SP対談

『グロテスク』福島祐一×鳥羽洋典SP対談

出口を決めずに純度の高い作り方を実現

――『GROTESQQQUE-グロテスク-』はどのように始まった企画なのですか?

福島:もともとは発表方法も決めずに、40分くらいのものを作って、どうするかは作ってから考えよう、という感じで始まったんです。ところがその脚本を進めていたのですが、なかなかまとまらず、要素を分けたら3つになったんです。そこで、アニメーター・デザイナーとしての錦織さんの要素をより出したMVのような映像に音楽を組み合わせたショートのものを3つ作ろうというのが出発点でした。

鳥羽:『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』も、最初はライブで流す映像を作りたいというところから劇場版になったんです(笑)。

福島:「何十倍にもなってる!!」という(笑)。

――出口を決めずに進めるのは、プロデューサーとしてなんとかできる自信がないとできないですよね。

福島:今回は僕が代表をやっているJOENが軸で、のちにアニプレックス瓜生さんのチームと組むことになりましたが、最悪、鳥羽さんに「なんとかしてください」と持っていけばいいかなと思っていた所もありました(笑)。

鳥羽:もちろん、そんな必要もなく(笑)、JOENとクローバーワークスで見事に作り切りました。加えて、アニプレックスも多方面で協力しています。今回、僕は短いものだと聞いていたので一人の観客として楽しみにしていたんですけど、「めちゃくちゃ大きくなってるけど大丈夫かな」と見ていました(笑)。でも、この作品はこのやり方だったからこそできたんですよ。外野がいなくて、スタジオだけで、錦織さん本人がほぼプロデューサーのようにやりたいことをやる。ここまでピュアに作れたのは奇跡的です。

福島:二度とできないですね。同時期に3作品を作っているようなものなので、僕らも大変でしたが、錦織さんは本当に大変だったと思います。

『GROTESQQQUE -グロテスク-』は錦織敦史のポートフォリオ

――2本目の『夜露死駆★少女』を三浦貴博さんがディレクションすることになった経緯は?

福島:1本を錦織さん以外の人に任せるなら、錦織さんがやってこなかったアクション設計などができる人にお願いできると作品の幅が広がると思ったんです。錦織さんとtarou2さんでキャラクターを作り、三浦さんのアクションの感覚で動かしてもらいました。人選は僕から提案しました。

――三浦さんらしいアクションが炸裂していますが、3本通して観ても錦織作品として違和感がありません。

福島:僕は3本のパッケージとしての構成や人のアテンドなど、枠組みを作るプロデュースの役割を担っています。でも例えば「このキャラやシーンの場合どっちの色の方がいいか」などのような様々なジャッジを積み重ねるクリエイティブのプロデューサーは、やはり錦織さんです。打ち合わせに立ち会ったり、成果物をチェックしたりして、三浦さんからの「どうしましょうか?」の問いに対して、「こうしましょう」と判断していく。絵を描かなくても、ジャッジによって錦織さんのらしさを生み出していった感じで。これは自分にとっても新しい体験でした。

――鳥羽さんは、本作に錦織監督の新しさを感じましたか?

鳥羽:新しさというより、これで錦織敦史の“ファーストステージ”が終わったなと。素晴らしいのは、作品であると同時に、彼自身のポートフォリオにもなったことです。『エリィアンズ』がアーティスト・デザイナー、『夜露死駆★少女』がプロデューサー、『ノクターン ~このグロテスクな夜に~』が作家としての錦織敦史。意図的かどうかは分かりませんが、自分自身をちゃんと因数分解している。これを観れば、錦織敦史の現在地がわかるんです。

福島:意図はともかく、確実にそういう構成になっていますね。3本目に作家としての錦織さんらしさが一番出ているというのも自分もそう思っています。

錦織敦史の“セカンドステージ”へ

――これだけ純度の高い作品を完成させた錦織監督は、今後どう進化していくと思われますか?

鳥羽:『GROTESQQQUE -グロテスク-』で、錦織さんの何が強みで何が弱みか、こちらで補うべき部分と本人ができる部分がよく見えたかな、と。これは本人にとっても周りにとっても間違いなく良かったと思います。作家としてトータルに作るスタンスは変わらないと思うので、次は1本のストーリーものをどう作るのか、例えば物語のすべてを本人がやるのか、それとも誰かと組むのか。いずれにしても、本人が目指すものをどう実現させるかが僕らの役目です。

福島:今作を経て、作り方や技術的なことについても話し合ったりしました。錦織さんはトライ&エラーをしたいとおっしゃっていて、短い作品で作り方を実験しながら、媒体はわかりませんが、まとまった作品につなげていけたらいいなと思います。『アイドルマスター』『ダーリン・イン・ザ・フランキス』『GROTESQQQUE -グロテスク-』を経た錦織さんの次のフェーズに向けて、制作体制から一緒に作っていきたいですね。

鳥羽:あと、今作については10代の人たちの感想も聞いてみたいですね。トップランナーが本気で、自由に作っている。それを観て「こんなことができるんだ」と感じてもらえたら嬉しいです。

■公開情報
『GROTESQQQUE -グロテスク-』
11月6日(金)全国公開

『エリィアンズ』
キャスト:市ノ瀬加那、星野源
エピソードディレクター:錦織敦史
メインキャラクターデザイン:安野将人
色彩設計:中島和子
美術監督:中村聡子(でほぎゃらりー)
撮影監督:佐久間悠也
3DCG:カプセル

『夜露死駆★少女』
キャスト:南沙良、長谷川育美、早見沙織、内田真礼、安済知佳、富田美憂、大久保瑠美、釘宮理恵
エピソードディレクター:三浦貴博
キャラクターデザイン:tarou2
アクションディレクター:林勇雄
色彩設計:中島和子
CGI:sankaku

『ノクターン〜このグロテスクな夜に〜』
キャスト:井上和(乃木坂46)、中西アルノ(乃木坂46)、一ノ瀬美空(乃木坂46)、冨里奈央(乃木坂46)
エピソードディレクター・キャラクターデザイン:錦織敦史
色彩設計:中島和子
美術監督:岩熊茜(でほぎゃらりー)
撮影監督:佐久間悠也
3DCG:カプセル

監督・脚本・キャラクター原案:錦織敦史
企画・プロデュース:JOEN・アニプレックス
アーティスト:ASCA、Akki、一ノ瀬みか、VaVa、eba、音羽-otoha-、上北建、佐藤古都子(yutori)、sabio/高村風太、SEE、志崎樺音、篠崎あやと、Junna、水槽、すりぃ、TAKU INOUE、橘亮祐、tsumiki、中島雄士(グソクムズ)、Nakano +、夏川椎菜、ななひら、野口衣織(=LOVE)、葉音、はしメロ、堀江晶太、Myuk、MIRI、METALVERSE、ももすももす、八木海莉、安田レイ、ゆよゆっぺ、Runaar、Reol
オープニングテーマ:METALVERSE「Shoot Shoot Shoot」(VERSE BY VERSE MUSIC)
制作:CloverWorks
配給:ANIMEC
製作:Project GTQ
©ATSUSHI NISHIGORI, CloverWorks/Project GTQ
公式サイト:https://movie-gtq123.com/
公式X(旧Twitter):https://x.com/grotesqqque

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