イモトアヤコが連ドラ初主演で真価を発揮 『再生のウズメ』で際立つ“受けの芝居”

人生は、何歳からでも変えられる。そう言われても、簡単には信じられない日がある。長く立ち止まっていれば、なおさらだ。イモトアヤコが連続ドラマ初主演を務める『再生のウズメ』(東海テレビ・フジテレビ系)は、そんな人の戸惑いや焦りを置き去りにせず、新たな一歩を応援したくなる作品である。
主人公の田村ウズメ(イモトアヤコ)は、かつて俳優を目指していた40歳の女性。28歳のときの出来事をきっかけに、12年間、実家で引きこもり生活を送ってきた。母・咲子(市毛良枝)が部屋の片付けを依頼した便利屋「救ちゃん」の代表・興梠(白洲迅)との出会いから、代行サービスの仕事を始めることになる。

成人した子を高齢の親が支える「8050問題」にもつながる、親子の行き詰まり。娘の将来を案じながら、自分も限界を迎えている咲子の姿には、ウズメ一人の気持ちだけでは解決できない切実さがある。そんな二人の暮らしに、他者が入ってくることで風穴が開く。仕事を得るだけでなく、家族以外にも自分を知る人が増えていくプロセスが、ウズメの止まっていた時間を少しずつ動かしていくのだ。
『その女、ジルバ』『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』など、大人が新たな出会いを通して変わっていく物語を届けてきた土ドラ枠。その流れをくむ本作も、初回の見逃し配信がTVer・FODの合計で111万回を超え、東海テレビ制作のドラマ初回放送として歴代2位を記録した。そんな物語を支えているのが、人の感情をこちらへと届けるイモトの芝居だ。
まず目を引くのは、ウズメとしての佇まいの自然さである。部屋にいる姿にも、母と言葉を交わす様子にも、そこで暮らしてきた人の生活が感じられる。外に出て働き始めても、すぐに自信がつくわけではない。相手の反応を前に焦ったり、どう振る舞えばいいのかわからず戸惑ったり。その心もとなさが、豊かなリアクションから伝わってくる。

だからこそ、小さな変化もうれしい。仕事をやり遂げた瞬間、誰かと気持ちが通じ合えたとき、新しい友達ができたこと。周囲から見ればささやかな出来事にも、ウズメにとっては途方もない重みがある。イモトの芝居を見ていると、その喜びを自分のことのように受け取り、いつしか彼女に深く感情移入してしまう。
本作はウズメの再生物語であると同時に、彼女が仕事を通して出会う人々の物語でもある。過去の恋にわだかまりを残す作家、つらい経験を抱える仕事仲間、本気になることを避けてきた市議選候補者。彼らに接するウズメもまた、傷や弱さを抱えた一人の人間にほかならない。相手の事情に驚き、ともに笑い、泣き、ときには自分の過去と重なるものを感じる。その反応を通して、見る側も目の前の人物への理解を深めていく。
ここに、イモトの「受けの芝居」の魅力がある。相手の言葉を聞いている間にも、ウズメの心は動いている。その動きが伝わるから、依頼者が何を彼女に残したのか、出会いによって彼女がどう変わったのかを感じ取れる。人の物語を受け止める姿が、ウズメ自身の物語になっていくのである。




















