『フランケンシュタイン』なぜ韓国オリジナルミュージカルの金字塔に? 圧巻の演出に迫る

キュヒョン&パク・ウンテが魅せる一人二役

本作は、演出・脚本・歌詞をワン・ヨンボム、作曲をブランドン・リーが手がけた韓国発のオリジナルミュージカル。海外の人気作を上演するだけでなく、世界的な文学を独自の解釈で壮大な舞台へと生まれ変わらせる創作力こそ、韓国ミュージカルの強みだ。本作でも、ゴシックな舞台美術、ドラマチックな音楽、感情をぶつけ合うような芝居が見事に融合し、観る者を一気に物語の世界へ引き込んでいく。
2024年の10周年記念公演では、SUPER JUNIORのキュヒョンがビクターを、韓国ミュージカル界を代表する実力派パク・ウンテがアンリを演じた。異なるキャリアを歩んできた二人が、同じ板の上でしのぎを削る。この俳優層の厚さと、劇場を震わせるような歌唱力の高さも、韓国ミュージカルならではの醍醐味だろう。
さらに本作では、主要キャストによる「一人二役」が大きな見どころ。キュヒョンは闘技場を営む男ジャックを、パク・ウンテは怪物をも演じる。同じ俳優とは思えないような演じ分けにも、ぜひ注目したい。役柄によって一変する声や表情はもちろん、人物同士の対比から浮かび上がる物語のテーマにも、思わず唸らされるはずだ。

日本のミュージカルファンにとっても、『フランケンシュタイン』は2017年に日本版が初演され、再演を重ねてきた人気演目であり、韓国版との解釈や演出の違いを見比べる楽しみもある。
同じ題材を舞台化しても、人物の関係性の見せ方や演技、音楽、舞台美術などによって、観客が受け取る印象は変わる。日本版を知っている人にとっては、自分が知っている物語を別の角度から堪能できる機会となるだろう。
一方で、韓国ミュージカルに初めて触れる人にとっては、世界的に知られた物語を入口にできることが魅力だ。原作のあらすじを知っている人も、物語の結末を覚えている人も、舞台作品として再構成された『フランケンシュタイン』を通して、人物の関係や感情の描き方に新しい発見を見いだせるかもしれない。
いつかは海外でミュージカルを観てみたい。そう思いながらも、渡航やチケットの手配、言葉の壁を前に実現できずにいるのは、きっと筆者だけではないだろう。その点、韓国の名作を日本語字幕付きで、身近な映画館で楽しめる今回の企画は実にありがたい。
生の舞台でしか味わえない臨場感は、もちろん格別だ。一方、映画館での上映には、映像ならではの楽しみ方がある。複数のカメラで捉えた映像を通して、舞台全体の構図だけでなく、俳優の表情や細かな演技にも目を向けられるからだ。視線や表情の変化にも注目すれば、台詞として語られた言葉だけでは捉えきれない人物の感情を、丁寧に受け取ることができる。
ミュージカルを映画館で楽しむうえで、音響も鑑賞体験を支える重要な要素となる。俳優の声や音楽がスクリーンを通じてどのように響くのか。舞台全体を見渡す視点と、人物の表情に寄り添う視点を行き来できることも、映像収録ならではの楽しみだ。
韓国ミュージカルを現地で観ることにハードルを感じていた人にとっては、映画館が作品との新たな接点になる。すでに舞台を観ている人にとっても、俳優の表情や演技の細部に注目することで、以前とは異なる印象を受けるかもしれない。
単に舞台を映像で楽しむだけでなく、人物の感情がどのように歌や身体表現へとつながり、観客に伝わるのかを味わう。そのような視点を持ってスクリーンに向かえば、『フランケンシュタイン』の物語は、より豊かな表情を見せ、贅沢な観劇体験が待っているはずだ。
復讐に生きる『モンテ・クリスト伯』、英雄の宿命を描く『エクスカリバー』
『フランケンシュタイン』に続くラインナップにも、異なる題材を通して人間の愛や葛藤を描く作品がそろう。

2027年1月22日公開の第2弾『モンテ・クリスト伯』は、アレクサンドル・デュマの小説を原作とする復讐劇。結婚を目前に無実の罪で投獄された青年エドモン・ダンテスは、獄中で出会った神父から知識を授かり、やがて莫大な財宝を手にする。そして謎の貴族「モンテ・クリスト伯」として社交界に現れ、自分を陥れた者たちへの復讐を始めるのだ。かつての愛を忘れられず、憎しみとの間で揺れる主人公の姿には、『フランケンシュタイン』と響き合うものがある。
音楽を手がけるのは、『ジキル&ハイド』『デスノート THE MUSICAL』などで日本でもおなじみのフランク・ワイルドホーン。こちらも初演10周年を記念した、KAI主演の2020年公演版・2021年韓国劇場公開作品。裏切りによって人生を変えられた主人公が、復讐を遂げようとするなかで何を失い、何を取り戻そうとするのか。愛と復讐のドラマを彩る情熱的な歌声に期待したい。

さらに2027年4月2日には、アーサー王伝説を題材にした第3弾『エクスカリバー』が公開される。同じくKAIが主演した2019年初演版で、聖剣エクスカリバーを手にした青年アーサーが、王としての宿命に向き合う姿を、こちらもフランク・ワイルドホーンの音楽が壮大に彩る。
生命創造、復讐、そして王の宿命。異なる題材を通して、人間の愛と葛藤をスケール大きく描き出す3作品。世界的に知られた物語を題材にしながら、舞台作品として新たな解釈を加えていく韓国ミュージカル。その魅力は、壮大な題材や歌唱の迫力だけではない。人物の葛藤をどのように描き、音楽や演技を通してどのように観客へ届けるのかという、舞台表現そのものにもある。まずは『フランケンシュタイン』から、その圧巻の歌声と熱量をスクリーンで体感してほしい。200年以上にわたり人々を惹きつけてきた創造主と怪物の物語は、きっと新たな感動を呼び起こし、単なる怪奇譚とは違う姿を見せてくれるはずだ。
韓国ミュージカルの虜になること間違いなし! 『エリザベート』を映画館で堪能できる喜び
7月11日から全国各地の映画館で公開されている「韓国ミュージカル ON SCREEN」を、早速鑑賞してきた。 珠玉の韓国…■公開情報
『フランケンシュタイン』
10月30日(金)より全国公開
2024年公演版・2025年韓国劇場公開作品/日本語字幕付きで上映
出演:キュヒョン(SUPER JUNIOR)、パク・ウンテ、イ・ジヘ、チャン・ウナ、ムン・ソンヒョク、シン・ジェヒ
演出・脚本・歌詞:ワン・ヨンボム
作曲:ブランドン・リー
『モンテ・クリスト伯』
2027年1月22日(金)より全国公開
2020年公演版・2021年韓国劇場公開作品/日本語字幕付きで上映
出演:KAI、リナ、キム・ジュンヒョン、イ・ジョンムン、チェ・ソンウォン、イ・サンジュン、キム・ヨンジュ、シン・ジェボム、チェ・ジヘ
脚本・歌詞:ジャック・マーフィー
作曲:フランク・ワイルドホーン
©2020 EMK Musical Company, All Rights Reserved
『エクスカリバー』
2027年4月2日(金)より全国公開
2019年初演版/日本語字幕付きで上映
出演:KAI、パク・ガンヒョン、シン・ヨンスク、キム・ジュンヒョン、キム・ソヒャン、イ・サンジュン、イ・ジョンムン
脚本:アイヴァン・メンチェル
歌詞:ロビン・ラーナー
作曲:フランク・ワイルドホーン
©2019 EMK Musical Company, All Rights Reserved
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
公式サイト:https://kmusicalonscreen.com/
公式X(旧Twitter):https://x.com/kmusical_os






















