『LOST10』“猿渡”中村アンに深まる謎 “72時間の壁”の先で複雑化するミステリー

支樺岳で起きた遭難事故をめぐって浮かび上がる新たな疑惑。それは、ツアー参加者たちが入山前に加入していた山岳保険の受取人が、全員とも猿渡(中村アン)になっていたということ。しかし要件を満たしておらず、彼女は一円も受け取ることはない。一方で、この事故で夫の二階堂(金子昇)を亡くしたハルネ(斉藤由貴)に向けられている生命保険をめぐる疑惑は、ハルネ自身が山に入っていない以上、依然として不可解なまま。そこに猿渡に対する疑惑が重なることで、ハルネと猿渡が共謀していた可能性が出てくるのである。

10月23日に放送された『LOST10』(TBS系)は第2話。“72時間の壁”を超えた先で、一連のミステリーはどんどんと複雑化していく。当然のように、中学時代に猿渡に救われた過去を持つ小駒(横浜流星)は、彼女の無実を信じている。それはつまり、ハルネと繋がっていた可能性があるのは猿渡ではなく、先に救助されたツアーガイドの田畠(飯豊まりえ)であると考えているわけだ。しかし直(小栗旬)のほうは、田畠の娘が難病を患っているということにたどり着くも、金銭的に困っているわけではなさそうと考え、猿渡に疑いを向けている。

まだツアー参加者のうち3人の行方がわからないままではあるが、二階堂の死をめぐって異なる供述(しかもそれが、不自然なほどに正反対なのである)をする猿渡と田畠。当時山のなかで何が起きていたのかという、他の誰も知る由がない事柄に対し、山を下りた場所で証言が錯綜しあう。その構図はまさしく黒澤明の『羅生門』(芥川龍之介の小説でいえば『藪の中』)に近いものがある。そもそも遭難事故に端を発したミステリーという点で『妻は告白する』や『氷壁』のような展開を想起していたが、いずれにしても本作にはこうした回想型サスペンスの古典の空気を感じることができよう。

なにはともあれドラマはまだ迷宮の入口。今回のエピソードでは、前回小駒がフラッシュバックさせた記憶の真相――中学時代の悪友が目の前で命を落としたこと――など、物語をかたちづくるいくつかの要素が明らかにされる。特に大きな点は、やはり山中で発見されたペットボトル。二階堂が飲んでいた水が入っていたものであり、そこには田畠の指紋はなく、猿渡の指紋と睡眠薬の成分が検出されている。すなわち、薬嫌い(と、ハルネは供述している)の二階堂が山に入っている最中に睡眠薬を飲んだという奇妙な点において、猿渡が関与していたことを示す重要な物的証拠だ。

また、直がハルネを追ってたどり着いたショッピングモールの駐車場のシーンでは、二階堂に関する不都合な情報をまとめたであろうゴミ袋を持ち去った人物が後ろ姿だけ登場する。さらに終盤には、入院中の田畠が一本の電話をきっかけに自宅に戻り、その屋上から飛び降りて絶命する。「大丈夫、すべて丸く収まる」という最後の言葉も謎めいたものであるが、少なくともこれら一連には、この疑わしい3人の女性たちやツアー参加者以外の何者かが関与しているのであろう。
■放送情報
金曜ドラマ『LOST10』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:横浜流星、小栗旬、中村アン、飯豊まりえ、井口理、岩谷健司、松下洸平、市川実日子、野呂佳代、斉藤由貴
脚本:奥寺佐渡子
演出:塚原あゆ子
プロデュース:新井順子
編成:荒木沙耶
音楽:ガブリエル・ロベルト
主題歌:Maya「LOST」(Sony Music Labels Inc.)
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/lost10/
公式X(旧Twitter):@lost10_tbs
公式Instagram:lost10_tbs
公式TikTok:@lost10_tbs





















