萩原利久、“値段以上のものを見せる”役者としての責任 『救命病棟24時』で感じたやりがい

萩原利久、“値段以上のものを見せる”責任

役者という仕事の“責任”とは?

――今回演じている天野智也という役柄についてはどう捉えていますか?

萩原:「Z世代ってこうだよね」とマイナスに受け取られがちな部分が入っている役なのかなと思います。総合病院の跡取り息子で、仕事は割とそつなくこなせるのだけど、マインドの持ち方としては極端に言えば“怒られないように仕事をする”というタイプ。そんな彼が、医師として仕事をするうえで自分一人の責任と判断で物事を進めなければならないときがあるということにどう向き合うかが、第3話の焦点になります。誰だって難しいとわかっていることに責任を持って突っ込んでいくのは躊躇するものなので、個人的には天野のような感覚は分からなくもない気持ちもあります。もちろん彼の場合はそれが患者さんの命に直結する職業だという点で簡単な比較はできないですけど。

――職業は違うと言えど、天野という人物には共感できる部分もあると。

萩原:そうですね、雑な言い方をすると普通に“良い人”なんだろうなと思います。コミュ力も高くてどんな人とでもフラットに会話できるので、上司からのウケも悪くない。第3話までは未熟な部分も目立ちますが、それ以降は意外と周りを見ていろいろなことに気づけるがゆえに光る場面も出てきます。僕自身もいまは新しい台本がくるたびに「あ、天野って意外とこういう面もあるんだ。たしかにそうかも」ということに気づく日々です。

――お話に出たように、天野は第3話で医師としての“責任”のあり方に向き合うことになります。萩原さん自身は役者として、似たようなものと向き合うことはありますか?

萩原:まず前提として、医師のように自分の選択一つに患者さんの生き死にが関わってくるほどの責任が俳優にあるのかというと、それは背負えないし背負うべきでもないのかなとは思います。ただそのうえで、たとえば映画であれば2000円のチケット代だとか、配信であれば月々いくらのサブスク代だとか、テレビであればスポンサーさんに出していただいているお金があって成立しているものなので、エンターテインメントとして値段以上に観て良かったなと思ってもらえる作品にしたいという思いは常にありますし、それが僕らが背負える責任なんだと思います。その意味では、僕は自分の演技や作品に対する批判的な意見があったとしても、お金を払ってもらったからにはそれを言う権利はお客さんにあると思いますし、聞くべきものは聞こうとも思います。もちろんそれが誹謗中傷まで行くと話は変わってきますけど。

オペシーンを演じる難しさと楽しさ

――医師役は専門的な用語や手技が入ってくるので演じるのが難しいとよく言われますが、その点での苦労はいかがですか?

萩原:医師という肩書のある役はやったことがあるのですが、今回のように処置シーンがしっかりあるのは初めてなので大変です。“医療台本”なるものがあるのも初めてで、そこに本当に詳細に書いてある台詞や手技を、監修の先生の立ち会いのもとリハーサルで一つひとつ丁寧に確認して進めていく。ただ、そういった場面ではチームワークがマストなので、演者同士の会話も自然と増えていきます。その意味では、シンプルに覚えることが多くて難しいのと同時に、それをみんなで一緒に乗り越えていこうという感覚も強く、そのなかで楽しくやれているかなと思います。

――天野の同僚・宮沢蓮役を演じる木戸大聖さんにインタビューしたときには、「心臓マッサージをしながら台詞を言う場面で、手の動きと台詞のテンポが同じになってしまうのが難しい」という話が出てきたのが印象的でした。そういった具体的なポイントで難しかったことはありましたか?

萩原:オペシーンですね。台本上は普通に台詞が書かれているんですけど、実際に演じるときは必ず何かの手技と連動した台詞になっているので、「誰々のこの手技が完了したら誰々のこの台詞」「この台詞を言い終わったら次のこの手技」という流れが連続して決まっていて、どこかがワンテンポ遅れるだけで全体が崩れてしまうんです。なので、さきほども言ったようにチームワークがマストになりますし、さらに言えば江口さんや松嶋さんが若手にも「ここはもうちょっとこうしたい」と言える空気を作ってくださっていてありがたい、という話にもつながってきます。

――なるほど。すこし変なたとえかも知れないですが、そういったシーンを演じるのはいわゆるアクションシーンに近い感覚があったりするのでしょうか?

萩原:あ、それは本当にそうかもしれません。アクションシーンも、本番前にたくさんリハをして一つひとつ丁寧に確認しますし、演者同士に信頼関係がないとうまくできない。それこそパンチやキックを相手に当てるように見せかけて実際は当てないといったことも含めて、“最後は相手を信じるしかない”という部分があるので、そこは同じかなと思います。オペシーンも、自分のやるべきことはちゃんとやり、そのうえで周りのみんなもちゃんとやってくれることを信じて進んでいくという感覚がある。うん、たしかにオペシーンは大人数のアクションシーンみたいな感覚で演じているかもしれないです。

『救命病棟24時』©フジテレビ

――そうやってチームワークがどんどん上がっていくと、必然的に現場の雰囲気も良くなってくるのではないでしょうか。

萩原:現場の空気はすごくいいです。本当にいろいろな世代の方がいらっしゃいますけど、僕は一回も自分用の楽屋に行かない日も多いです。朝、現場に到着するとそのまま前室に行ってみんなとコミュニケーションをとり、本番のない中空きの時間も前室にいてしゃべってるみたいな。大人数が同じセットに入って長い時間をともにするという意味では、学園もののドラマをやっているときに近いような感覚すらありますね。

――医療ドラマの世界がぐっと身近に感じられる気がしてきました。最後に、視聴者の方にメッセージをお願いします。

萩原:今回のテーマの一つにある「働き方改革」は、まさしく今の医療現場で起きていることだと思いますし、それに限らず我々がいるエンタメ業界も含めた社会全体の課題でもあると思います。ほとんど全ての人がそれぞれに直面していて、かつ何が正解か簡単に決まるような問題でもない。そこはまず問題を認識したり、それについて話したり考えてみたりすることが大事なのかなと思うので、今回の『救命病棟24時』がみなさんのなかでそのきっかけの一つになってくれたらすごく嬉しいなと思います。それと、今回実際に医師を演じてみて、医療従事者の方は本当に日々すごい仕事をされているんだなという気持ちがどんどん大きくなっているので、そんなリスペクトも広げられるようなドラマにできればいいなと思っています。

■放送情報
『救命病棟24時』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:江口洋介、松嶋菜々子、木戸大聖、萩原利久、白石聖、横田真悠、中山翔貴、杏花、金田哲、長井短、田島亮、谷恭輔、宮野真守、八嶋智人、沢村一樹、 ほか
脚本:田辺満、市東さやか、三浦駿斗、ひかわかよ
演出:柳沢凌介、水田成英(FCC)、星野和成、日髙貴士
プロデュース:足立遼太朗
プロデューサー:鹿内植、大瀬花恵(FCC)
音楽:得田真裕
主題歌:DREAMS COME TRUE「サヨナラとバトン」(DCT records/UNIVERSAL SIGMA)
制作協力:FCC
制作著作:フジテレビジョン
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kyumei24_6th/
公式X(旧Twitter):@kyumei24_fujitv
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<応募締切>
11月9日(月)

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