『GTO』冬月あずさから『救命病棟24時』小島楓へ 松嶋菜々子が埋める“空白の期間”

松嶋菜々子が埋める“空白の期間”

 松嶋菜々子が画面に映ると、なぜだろう。背筋がすっと伸びる。凛とした佇まいと、言葉にせずとも伝わる芯の強さ。いつの時代も、彼女はわたしたちに”こんな女性になりたい”と思わせてくれる。

 松嶋が演じてきたキャラクターのなかで、個人的にいちばん好きなのが、『やまとなでしこ』(フジテレビ系)の神野桜子。「わたしがこの世でいちばん嫌いなもの、それは貧乏」「どうしてルックスや性格で男を選ぶのは褒められて、お金で男を選んじゃいけないわけ?」など、炎上不可避なことを言ってのけるのに、なぜか憎めない。

 いや、憎めないどころか、その潔さがかっこいいとまで思ってしまう。どんなに強気で、わがままで、“普通”の感覚からはみ出した人物でも、彼女が演じているとチャーミングに見えてくる。それは、強さの裏にある弱さや、完璧に見える女性の不器用さをさりげなく滲ませてくれるからだろう。

 1998年放送のドラマ『GTO』(カンテレ・フジテレビ系)で演じた冬月あずさも、そうだった。強気な発言を連発しているが、それは自信のなさの裏返しだったりする。そんなギャップを嫌味なく見せられるところに、松嶋の芝居のうまさがある。

 そんなあずさが、今夏放送の『GTO』で、28年ぶりに帰ってきた。かつては、今後の人生をどうしていくべきかと理想と現実のギャップに悩んでいた彼女も、今ではどっしりと構えるキャビンアテンダントに。破天荒な教師・鬼塚英吉(反町隆史)の妻として、その背中を押す役割を担っていた。もちろん、およそ四半世紀のときを経ているので、あずさが成長しているのは当然といえば当然のことなのだが、興味深いのはかつての面影がしっかり残っていたこと。

 あずさは、思ったことをズバッと言う性格ではあるが、その言い方がどこか子どもっぽかったりする。鬼塚に怒りをぶつけるときも、まるで子どものように口を尖らせていたのが印象深い。そのクセが変わっていなかったところに、なんだか無性にうれしくなった。空白だったはずの28年間、彼女の人生をずっと見守ってきたかのような感覚になったのだ。

 もちろん、その年月を描いた映像があるわけではない。それでも、あのころのあずさがさまざまな経験を重ねて、今のあずさになったのだと自然に思うことができる。時を経て、成長した部分と、変わらない核をごく自然に共存させているところに、松嶋の演技の巧みさを感じた。

 そして、10月12日スタートの『救命病棟24時』(フジテレビ系)でも、松嶋はふたたび“空白の期間”を埋めることになる。彼女が演じる小島楓は、1999年放送の第1シリーズのときは、まだ駆け出しの研修医だった。進藤一生(江口洋介)の厳しい指導を受けながら、少しずつ救命医として成長してきた小島は、第4シリーズで医局長に抜てきされた。そして、第6シリーズとなる今作では、進藤が働く都立第三病院の副センター長に。逼迫する救急医療体制の改善と、若手の抜本的な意識改革に挑むことになるようだ。

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