『俺たちの箱根駅伝』青春ドラマとしての美しさ “青葉”小林虎之介の箱根にかける思い

箱根駅伝の本戦出場を逃した大学16校から寄せ集められた16人の選手たちが一堂に会し、合宿というかたちから始動した“学生連合チーム”。その監督を任された甲斐(山下智久)は選手たちに「学生連合は何のために走るのか?」と問いかけ、「箱根駅伝3位以上」という大きな目標を掲げる。それぞれが違う目的を持って集まった選手たちを、キャプテンとしてまとめることになるのは明誠学院大学の青葉(小林虎之介)。しかし、さっそく甲斐のやり方に反発する者が現れ、チームは紛糾することとなる。

10月17日に放送された『俺たちの箱根駅伝』(日本テレビ系)第2話。徳重(大泉洋)をはじめとした箱根駅伝中継を担当する大日テレビのテレビマンたちの物語と、箱根路に向けて“チーム”を作りあげようとする学生連合の選手たちの物語が併走するようにして描かれていくこのドラマ。前回の第1話では中継のバラエティ化を阻止しようと局の上層部に挑む徳重が中心に描かれたが、今回の軸となるのは選手の方だ。

いかにも池井戸潤の作品らしく既存の組織内で起こる諍いから、“まだ組織されていない”選手たちへシフトするとなれば、よりパーソナルな部分へ向かっていくのは自然の流れである。ちなみに今回描かれた大日テレビパートでも、センターディレクターを任される宮本(伊藤沙莉)の仕事上の悩み――新人ADである戸山(山田杏奈)ら他のスタッフに任せる勇気が持てないという部分に触れることで、彼女の人となりが前回よりもはっきりと見えてくる。おおよそ両パートはこのように連動していくのであろう。

とはいえ学生連合の選手たちは、テレビマンたちとは異なり、各々がチームのなかでどのような役割を担うことになるのかさえ見えていない。もちろん箱根路を走るうえで、それは“どの区間を任されるのか”ということと同義でもある。何を得意とし、どんな性格の人間なのか。そして、自分のせいで明誠学院が箱根行きの切符を逃したことを負い目に感じている青葉のように、何を抱えているのか。ぶつかり合いながらもそれをさらけ出すことによって、チームというものは組織され、彼らの襷は重みを持ったものとしてつながることになる。

清和国際大学の松木(水沢林太郎)や目黒教育大学の富岡(荒木飛羽)らと共に、箱根を“経験する”(そもそも学生連合チームの目的は1人でも多くの選手に出場機会を与えること)ためだけにチームに参加していた東洋商科大学の桃山(齋藤璃佑)。彼は青葉の箱根にかける思いを知り、また指導方針がはっきりと見えない甲斐のねらいに気が付くことで心を入れ替える。朝、誰よりも早い時間にトラックを走る桃山の姿を見つけた青葉が、何も言わず彼に併走する。一緒に並ぶ瞬間から主題歌が流れるという演出は、なかなかあざとくも感じるが“青春ドラマ”としての美しさを備えている。

劇中でも語られているように、学生連合チームというのは記録の残らない“オープン参加”枠。現実の箱根駅伝では(オープン参加になる前の)第84回大会で4位に入る大健闘をしているものの、ほとんどの場合は目立たない下位の成績に終わっている。ちょうどこの第2話の放送日に第103回の予選会が行われ、惜しくも涙を飲んだ中には箱根経験校や前年よりも大きく順位を伸ばした学校もある。このドラマをきっかけに、現実の学生連合チームにも光が当てられることになるだろうか。
■放送情報
『俺たちの箱根駅伝』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00〜放送
出演:大泉洋、伊藤沙莉、小林虎之介、奥智哉、山田杏奈、市川猿弥、小日向文世、生瀬勝久、竹中直人、寺尾聰、浅香航大、望月歩、河内大和、水沢林太郎、菅生新樹、荒木飛羽、庄司浩平、林裕太、山本耕史、駿河太郎、金田明夫、高橋克典、山下智久
原作:池井戸潤『俺たちの箱根駅伝』(文藝春秋)
脚本:鈴木すみれ、松田裕子
演出:猪股隆一、山田信義 ほか
主題歌:桑田佳祐
プロデューサー:小田玲奈、藤澤季世子、大井章生、鈴木香織、森雅弘
協力:一般社団法人 関東学生陸上競技連盟
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/orehako/
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