『インサイド・ヘッド2』はなぜ世界的大ヒットになったのか? ピクサー“続編”の分類学

ピクサーにとって28本目の長編映画となった『インサイド・ヘッド2』。2024年の劇場公開時に全世界で興収16億9800万ドルと、当時アニメーション映画として最大のヒットを記録した(現在は『ナタ 魔童の大暴れ』(2025年)と『ズートピア2』(2025年)に抜かれてしまったが、ピクサーの歴代1位は保持したまま)。そんな同作が、10月16日の日本テレビ系『金曜ロードショー』で地上波初放送を迎える。この機会に、『インサイド・ヘッド2』が前作『インサイド・ヘッド』からどのような進化をとげ、なぜこれほどの成功を収めたのか、あらためて考えてみたい。
『トイ・ストーリー』(1995年)と『モンスターズ・インク』(2001年)、『ファインディング・ニモ』(2003年)に『Mr.インクレディブル』(2004年)、そして『カーズ』(2006年)と、これまでピクサー作品で長編映画としてシリーズ化されてきたのは1990年代・2000年代に生まれた作品ばかり。2010年代以降に生み出された作品としては『インサイド・ヘッド』が現時点で唯一の“続編”を有するタイトルということになる(数年後には『リメンバー・ミー』(2017年)の続編が予定されているが)。

映画というものは商業的であって然るべきだが、それでもピクサーというスタジオにおいて続編を作ることは、商業的成功が担保されていること以上に、「語るべき物語がある」ことが前提条件になっているのは有名な話。すごく極端に言ってしまえば、続編を作るからには、技術的なクオリティや完成度のみならず、作品に備わったテーマの面を含めても“完璧な続編”でなくてはならないということだ。そのうえで、まずこの『インサイド・ヘッド2』という作品は、間違いなく『インサイド・ヘッド』の続編として完璧であったと断言できよう。
先で例示した続編群のうち、『モンスターズ・インク』だけは『モンスターズ・ユニバーシティ』(2013年)というかたちで前日譚へ向かうことになったが、それ以外はいわゆる“アフター・ストーリー”という続編の基本パターンが貫かれている。より細かく分類すれば、『インクレディブル・ファミリー』(2018年)と『カーズ2』(2011年)『カーズ/クロスロード』(2017年)では主人公たちの新たな試練や戦いが描かれ、『ファインディング・ドリー』(2016年)では主人公をチェンジする策がとられていた。それらを踏まえると、第1作のアフター・ストーリーで、否応なしにやってくる時間の流れによって新たな物語が発生するという点で、『インサイド・ヘッド2』は『トイ・ストーリー』シリーズと同じタイプの続編に分類することができる。
あらためて説明するまでもないが、『トイ・ストーリー』シリーズでは物語の主人公であるウッディやバズらおもちゃが、持ち主である人間のアンディなりボニーなりに付随するものとして存在している。2作目以降の続編では、アンディやボニーの成長に伴っておもちゃは彼らをサポートする役割を守り貫こうとしながら、同時に彼ら自身も成長や変化を迎えていくのである。こうした“人間キャラクターがいるからこそ存在しうる、人間ではないキャラクター”が描かれるという点もまた、『トイ・ストーリー』と『インサイド・ヘッド』の共通項だ。



















