『JIN-仁-』に匹敵するヒット作誕生の予感 『いろはの恋は時代をかける』胸を打つ幕開けに

「先生って仕事はなぁ、そんな見下されるような仕事じゃねぇ!」
341年前と同じ夜空が広がる日。江戸から現代にやってきたいろは(上白石萌音)の叫びが胸に響いた。『いろはの恋は時代(とき)をかける』(TBS系)第1話で描かれたのは、教師という仕事への憧れと、その仕事を担う人々が置かれた厳しい現実。いろはが教師になれる喜びをかみしめるほど、現代で教壇に立つ人たちの苦しさも胸に迫る。笑える掛け合いの奥に、教えることへの切実な願いが息づく幕開けだった。
上白石が演じるのは、江戸の飛脚屋の娘・いろはと、現代の小学校教師・梨木彩葉。ビルの屋上から飛び降りようとした彩葉を、同僚の一ノ瀬生琉(向井康二)がすんでのところで救う。しかし、引き上げられた彼女は突然、威勢のいい江戸言葉で騒ぎ始めた。自分は飛脚屋の娘だと言い張り、街の景色にも自分の服装にも驚く姿に、生琉は困惑するばかりだ。

着任の挨拶さえ声が小さかった彩葉と、怒りも驚きも全身で表すいろは。上白石は声や表情、相手への向き合い方まで変え、同じ姿の二人に異なる人生を感じさせる。エレベーターやコンロの火に驚くいろはと、それに付き合う生琉の掛け合いも楽しい。けれど、いろはは快活で男勝りな江戸っ子というだけではない。その内側にある痛みや喜びを繊細に演じる上白石に、何度も心を動かされた。
生琉に連れられて彩葉の部屋へ来たいろはは、机にあった算数の教科書に飛びつく。もともと好奇心旺盛で算学が好きだった彼女は、子どもに学問を教える仕事に就きたいと密かに願っていた。だが、若い女性が手習所を開くことは、世間に認められない、かなわない夢だと諦めていたのだ。

そんな彼女に、算学を教える関(大森元貴)は「季節が変わるように世間は変わり、人々の価値も移り変わる」と語る。今の世間に認められないからといって、夢まで手放すことはない。「お前の楽しさや喜びはお前だけのものだ」と訴え、いつか世の中が変わる日まで精進し続けろと励ました。
そして現代で、いろはは女性も教師になれると知り、算数の教科書を抱きしめて涙を流す。関が語った「いつか」が、本当に訪れていた。自分には閉ざされていた道が、今は開かれている。その喜びをかみしめる姿に胸が震えた。普段の威勢のよさの奥に、どれほど強い願いを抱いていたのかが伝わる涙。今なお、自分ではどうしようもない理由で選択を狭められることがある私たちにとっても、世の中は変わりうるという希望に触れられる場面だった。



















