野田秀樹、『IF TOKYO 東京国際演劇祭 2028』の構想を語る 「AIに代役できない演劇を」

野田秀樹、『東京国際演劇祭 2028』を語る

 3年に1度、日本中・世界中の演劇が集う新たな国際演劇祭「IF TOKYO 東京国際演劇祭 2028」の制作発表会が9月30日に都内で開催され、芸術監督の野田秀樹をはじめとする関係者が登壇し、開催へ向けた構想や演劇への思いを語った。

(左から)吉田智誉樹、吉見俊哉、野田秀樹、村岡隆史、池田篤郎

 本演劇祭は、東京都内全域および近郊を舞台に、2028年10月1日から22日までの約3週間にわたって開催される。国内外から約200団体の参加を見込んでおり、劇場だけでなく野外スペースなども活用し、都市全体を巻き込む規模となる予定だ。

 まず、一般社団法人IF Tokyo理事の伊藤達也が概要を説明。名称は「International Festival Tokyo」の頭文字をとったものであり、2028年の開催以降、3年ごとのトリエンナーレとして継続開催していくという。

野田秀樹

 芸術監督を務める野田秀樹は、「3年前にこの構想を語ったときは、ドンキホーテの誇大妄想に見えるかもしれないと言ったが、それが実現可能になった」と感慨深く語った。また、AIなどの技術発達が進む現代における「演劇」の意義について、「AIが取って代わろうとしても、目の前の本当の役者の体の代役はできない」と力説。目の前で人間が演じるからこそ人をドキドキさせ、同時に、間違えないように頑張りながらも間違えてしまう人間の身体性に触れることで、人は「ほっとする」のだと語った。この演劇祭を通じて、「東京中が何か今日ドキドキしてほっとするな、という場所になる」と展望を明かした。

 東宝芸能株式会社の代表取締役社長である池田篤郎は、コロナ禍の危機を乗り越えられたのは演劇を求めてくれた観客のおかげであると感謝を述べた上で、本演劇祭が演劇界にもたらす影響について言及。多様な才能が集い交わることで起きる「化学反応」が演劇界をさらに大きくしていくとし、「次世代を担うアーティストやクリエイターたちが、世界を目指して羽ばたいていける実践的な機会と橋渡しの役割になる」と大きな期待を寄せた。

(左から)野田秀樹、本多愼一郎

 地域との連携については、本多劇場グループ総支配人の本多愼一郎が、駅前広場などでの展開や商店街との協力を挙げ、「お客様が街に来て、街も潤うことが重要」と、演劇を通じた地域活性化への意欲を見せた。

 さらに、グローバルな視点として、2.5次元ミュージカルなどを手掛ける株式会社ネルケプランニングの野上祥子と、appare株式会社代表取締役である松田誠も登壇。野上は、字幕対応など言語の壁を越えるアクセシビリティの重要性を指摘。松田は、世界を目指す若い才能のために、「東京に世界のプロデューサーらを招聘し、ショーケースのように作品を見てもらう道を作りたい」と、国際演劇祭ならではの役割を語った。

吉見俊哉

 最後に、東京大学名誉教授でIF Tokyo代表理事の吉見俊哉が登壇。経済やAIが中心となりスピードアップし続ける現代社会において、「演劇は遅く、時間がかかるからこそ価値がある」と指摘し、本演劇祭が東京に「ほっとする穴」を開けていくことの社会的意義を語り、会見を締めくくった。

■開催概要
「IF TOKYO 東京国際演劇祭 2028」
開催期間:2028年10月1日(日)~22日(日)
開催エリア:都内全域・近郊(日比谷、東京、日本橋、高輪、浜松町、有明、上野、浅草、池袋、新宿、渋谷、三軒茶屋、下北沢、東京近郊の野外ステージ、野外テントなど)
主催:一般社団法人 IF Tokyo/IF TOKYO 2028組織委員会
公式サイト:https://iftokyo.jp/

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