『風、薫る』“シマケン”佐野晶哉と“寛太”藤原季節が迎えた終着点 りんと直美の選択

 9月22日放送のNHK連続テレビ小説『風、薫る』第127話では、二組の男女の終着点が描かれた。

 看護婦試験を目指して実習に励むツヤ(東野絢香)は、りん(見上愛)に同行して佳枝(相田翔子)の家を訪れた。佳枝は病状が進行し、表情もつらそうだ。右手の痛みをこらえる佳枝をりんは黙って見守る。ツヤは、りんに佳枝の腕の具合を確認しなかった理由を尋ねた。

 りんの答えは、もし佳枝に病状を聞いたら「大丈夫」と嘘を言わせることになるかもしれないから、だった。気持ちが内向きになっている患者は、自分から話し出すのを待つこと。「観察した上でそれをどう判断するか」が大事だ。そうは言っても、相手のわがままや気分に常に合わせる必要はない。いつどのようなタイミングで声をかけるべきか。経験によって培われた判断を言葉にする「言語化の壁」にりんはぶち当たっていた。

 シマケン(佐野晶哉)は、りんの看護のかいもあって徐々に回復。ふたたびペンを手に取る意欲が湧いてきたことからも回復ぶりは伝わってくる。執筆から離れると言葉が出てこないとこぼすシマケンを見て、りんは悩みを打ち明ける。シマケンは、新潟での経験を質問しながら、千利休の「守破離」を引用してりんの状況を指摘した。

 りんが言葉にしようとしているのは、看護の「大事な根っこのようなもの」である。シマケンには、りんがこれまでの集大成として、自ら習得した看護の心得と技術を伝えているように映ったのではないか。りんが試行錯誤しながら成長する姿を見てきたシマケンならではの洞察で、後進に伝えようとするりんの背中を押す一言だった。

 シマケンからヒントをもらって、りんは、患者の気持ちに寄り添う看護のあり方を模索する。手を動かせないことに佳枝はフラストレーションを覚えていた。りんは、佳枝の「私、すごく怒っているの」という言葉を受け止めて、怒っていいと肯定する。2人のやり取りから、ツヤも病と向き合う姿勢を学ぶ。

 りんとシマケンは、他人でありながら深い信頼感で結ばれ、互いを相談相手とする関係である。ことに、シマケンからりんに対しては、りんがシマケンを「私のトンビ(紙飛行機)」と言及したように、迷っているときに気持ちを軽くし、背中を押してくれる存在だった。紆余曲折を経て、2人は本来の関係性に立ち返ったといえる。

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