『踊る大捜査線 THE LAST TV』は“スピンオフ”ではない シリーズの流れとともに解説
もっとも、こうしたキャラクター関係の整理を含め、『THE FINAL』の前日譚として劇場版第3作『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』(2010年)から2年間のブランクを埋めるためのワンクッションになっていることは間違いない。だからといって、『THE FINAL』の前に予習がマストかといえば、そうとも言い切れない。これは『踊る』シリーズすべてに共通していえること。基本的にどの作品も独立してエンタテインメントとしての魅力を携え、そのうえで人間関係や小ネタの連続性(室井の肩書きもコロコロ変わるし)、背景にあるお台場の街並みの変化などで、より作品世界に入り込むことができる作りになっているのだから。
というわけで、『THE LAST TV』も独立した作品として楽しめるが、その劇中には『THE FINAL』のキーワードとなるアイテムや小ネタがいくつか散りばめられている。“バナナ”もその一つであるし、湾岸署特製の防犯ブザーも然り、冒頭の交通安全教室で車が片輪走行してくるシーンも然り。そういった意味では、先に『THE FINAL』を観てその記憶が鮮明なうちに『THE LAST TV』を観るという鑑賞順も一興であろう。
いずれにせよ、テレビドラマとしての『踊る』には(規模感が大きくなったスペシャルドラマとなると尚更)劇場版以上にスラップスティックとしての面白みがあることは言うまでもないことだ。最新作『踊る大捜査線N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』の公開後でもいいので、また新たなメンバーでテレビドラマが作られることを願っておきたい。
■放送情報
『踊る大捜査線 THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件』
フジテレビ系『土曜プレミアム』にて、9月12日(土)21:00~23:10放送
出演:織田裕二、深津絵里、ユースケ・サンタマリア、伊藤淳史、内田有紀、イ・ヘイン、名高達男、北村総一朗、小野武彦、斉藤暁、小栗旬、柳葉敏郎ほか
脚本:君塚良一
監督:本広克行
制作:ROBOT