『攻殻機動隊』はなぜ音楽まで革新的なのか? King Gnu「GO GHOST」が受け継いだもの

 そして放送中の『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』は、オープニングテーマ「GO GHOST」をKing Gnuが手がけ、エンディングテーマ「Blue」を、King Gnuの常田大希が率いる音楽プロジェクトMILLENNIUM PARADEが担当した。

King Gnu - GO GHOST

 「GO GHOST」は、前述の通り、冒頭の民族的なコーラスが実に鮮烈で、ここを聴いただけで「あ! 『攻殻機動隊』だ!」と感じたファンも多いだろう。それに続く井口理のボーカルは、〈どの私も私よ〉とくだんのゴースト問題に斬り込んでいく。井口のボーカルは、サビでは力強いハイトーンだが、Aメロはファルセットのどこか夢うつつといった雰囲気で、そこからも存在の曖昧さに揺れ動く様子が感じられる。さらに重なる常田のハスキーボイスは、異なる意識が介在していくかのようで、サウンドが激しさとノイジーさを増す楽曲終盤、二人のボーカルが混ざり合い〈just u…〉という言葉で終わる様が何とも意味深だ。実際に草薙の願い通り〈どの私も私〉だったのか、それとも……? 『攻殻機動隊』の根幹にある問いかけが、楽曲で行われている。さらにアニメ放送バージョンでは〈欠陥だらけ〉という歌詞が、配信では〈壊れかけの日々〉になっているなど、異なる点がいくつかあることも非常に興味深い。

『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』ノンクレジットエンディング映像|「Blue」MILLENNIUM PARADE

 また、エンディングテーマの「Blue」は、MILLENNIUM PARADE feat. Saya Gray, Daniel Caesarによる楽曲で、一転アンビエントの静けさ漂うサウンドで始まる。さまざまな青の意味を問いながら喪失感を歌い、楽曲終盤は民族的なビートとアフリカンなメロディで終わっていく。「Blue」(青)と言えば草薙の髪の色であり、誰かの草薙への思いを歌っているのか? など想像が広がるのも一興だ。また、士郎正宗のデビュー作『アップルシード』(『攻殻機動隊』の100年後を描いた作品)を出版したのが、株式会社青心社という出版社で社長が青木治道氏だったことが思い出され、結局ゴースト問題は100年後まで持ち越されることを示唆しているのかもしれない? など、考察が止まらない!

 『攻殻機動隊』という作品は、常にゴースト(魂)とは何か、何に宿るのかを問うてきた。その問いは、音楽にも貫かれている。常田をゴーストとした場合、King GnuとMILLENNIUM PARADEは、それぞれ全く異なる性能を持った「義体」と言え、どちらにも介在しているのが常田という才能だ。実際に「GO GHOST」の歌詞で常田は、サビの頭で〈どの私も私よ〉と書いている。これは草薙素子の「そうでありたい」という願いであると同時に、常田がKing GnuとMILLENNIUM PARADEを動かす際の思いなのかもしれないと推測される。また、この〈どの私も私よ〉という言葉は、今回の原作版の放送によってより浮き彫りになった、押井版や神山版など『攻殻機動隊』の表現方法をめぐる議論に対する、彼らの解釈と受け取ることもできるかもしれない。

■放送情報
『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』
カンテレ・フジテレビ系“火アニバル!!”枠にて、毎週火曜23:00〜放送
Prime Videoにて、地上波同時国内見放題最速配信開始/同時に海外独占配信開始
キャスト:坂本真綾(草薙素子役)、山路和弘(荒巻大輔役)、安元洋貴(バトー役)、中村悠一(トグサ役)、後藤光祐(イシカワ役)、奈良徹(サイトー役)、大井麻利衣(オペレーター役)、金田朋子(フチコマ役)
原作:士郎正宗『攻殻機動隊』(講談社 KCデラックス刊)
監督:モコちゃん
シリーズ構成・脚本:円城塔
キャラクターデザイン・総作画監督:半田修平
OP主題歌:King Gnu「GO GHOST」
ED主題歌:MILLENNIUM PARADE「Blue」
アニメーション制作:サイエンスSARU
©2026 Shirow Masamune/KODANSHA/THE GHOST IN THE SHELL COMMITTEE
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